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有害物質

アスベスト輸出大国カナダの「戦犯」度

2011年6月30日(木)17時30分
サンドロ・コンテンタ

発癌物質を吸い込むインド人労働者

 カナダの公共放送局CBCは1年ほど前、インドで白石綿の粉塵にまみれながら働く労働者の衝撃的な映像を放映した。彼らは防護服を着用しておらず、作業着にはアスベストの繊維が多数付着していた。彼らにとって発癌性のあるアスベストを吸い込まないための唯一の防護策は、顔に巻いたハンカチだ。

「アスベストは産業界最大の殺し屋だ。産業関連のあらゆる原因による死を足し合わせた以上に多くの人々がアスベストで命を落とす。それなのにカナダは相変わらず、世界有数の生産国かつ輸出国であり続けている」と、新民主党のパット・マーティン議員は先週、国会で訴えた。

「大げさではなく、我々は途方もない規模で悲劇を輸出している。しかも、何10万トンものアスベストを売りつけている途上国に危険性の告知さえしないですむよう積極的に働きかけている。カナダの姿勢は、道徳的にも倫理的にも非難に値する。こうした態度がカナダの評判を貶めているとわかっているのか」

 だが、セットフォード・マインズ出身のクリスチャン・パラディ産業相は答弁に立つたびに、政府見解を淡々と繰り返すだけだ。「カナダ政府は30年以上に渡って、安全かつ管理されたアスベストの利用を推奨してきた」と、パラディは言う。「最近の科学的研究によって、制御された環境においては安全かつ管理された利用は可能だとわかっている」

 これには、欧米の同盟国も呆れてモノが言えないだろう。カナダは弁解の余地のない非道行為によって、人命を危険にさらしている。

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