「タカ派」国家に転じたフランスの思惑
空爆がサルコジの再選に及ぼす影響
フランス当局は、バグボの拘束にフランス軍は関わっていない、バグボはコートジボワール軍に降伏したのだと繰り返し主張している。強硬な姿勢を取りながらも、アフリカの警察官のように振る舞っていると思われないように必死だ。
「フランスは国連と共に、すべての独裁者に対して強くて象徴的なメッセージを送った」とフランソワ・フィロン首相は語った。「法と民主主義を尊重しない者には危険が待っているというメッセージを」
かつてチュニジアのゼイン・エル・アビディン・ベンアリ大統領のような独裁者にすり寄り、リビアの最高指導者ムアマル・カダフィ大佐に対しても歓迎の意を示していたサルコジは真のリーダーか、それとも単に干渉したがりの指導者なのか。それは歴史が判断するだろう。だが、フランス人がサルコジをどう見るかは、大統領選を来年に控えるサルコジにとって今すぐ影響する問題だ。
3月の世論調査によると、フランス人の約66%がリビアへの軍事介入を支持していた。長い目で見ると、この支持率は経済危機で低迷したサルコジのイメージアップにつながるのだろうか。
「サルコジはとても実利的で、信念が何もない日和見主義だという見方がある」とグルスタインは言う。だが実際には、サルコジは大統領就任以来、一貫して地中海を囲む諸国の繁栄を追求してきたという。リビアへの介入は「サルコジが自分の信念を具現化するチャンスだった」
フランス人は今後、リビアとコートジボワールへの軍事介入に基づいて、サルコジへの評価を下していくだろう。リビアに関して、サルコジは実態がほとんど分からない反政府勢力を支持しているが、これは政治的リスクを伴う決断だ。
ベルナール・クシュネル前仏外相は、サルコジがリビアに人道的介入を行ったことについて、「民間人を守るため」に提案した「寛大な」判断だったと語った。しかし一方で、平和維持と平和構築は異なる活動だとも指摘した。
サルコジの評価は空爆の後に平和が生まれるか、その平和を維持できるかにかかっている。
(GlobalPost.com 特約)