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ウィキリークス事件

イギリス人はアサンジ引き渡しを許さない

2010年12月8日(水)17時20分
ウィリアム・アンダーヒル(ロンドン支局長)

「大義のために巨大な敵を作った男」

 アサンジはスウェーデンへの送還を免れることができるのだろうか。彼の弁護士によれば、容疑は「政治的動機に基づくもの」であるが、送還を避けるのは容易ではないという。スウェーデンは迅速な「EU共通逮捕状」制度を採用している。これもまた9・11の後に導入されたもので、身柄引き渡しを拒否するのが難しい仕組みになっている。この制度に合意する国は、信頼ある法制度を備え、人権を尊重していることが前提とされる。

 1つ確かなのは、アサンジの敵対者は今後何カ月も、支持者から抗議を受け続けることになるだろうということだ。

 今日のニュースによれば、社会派の映画監督ケン・ローチや大富豪の令嬢ジェマイマ・カーンといった数人のセレブたちが結集し、アサンジ支持を表明して彼の保釈保証人になることを申し出たが、保釈請求は裁判所に却下された。

 支援者に名を連ねているベテランジャーナリストのジョン・ピルジャーによれば、「彼は重要な大義のために巨大な敵を作ってきた男だ」。アサンジは、イギリスでも追われている――当局ではなく、支援者たちによって。

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