最新記事

児童買春

カンボジア「小児性愛天国」の悪名返上か

2010年11月17日(水)18時20分
ブレンダン・ブレイディ

被害者に汚名を着せる文化

 APLEによれば、03年以降に「わいせつ行為」などで逮捕された141人のうちカンボジア人は37人、他のアジアの国の出身者は19人しかいなかった。つまり141人のうち大半が欧米人だったということだが、実際はカンボジアで小児性愛犯罪に手を染める人の中で欧米人の割合はごくわずかだ。

 児童保護NGOのECPATが10月に発表した報告書によれば、子供のときに売春していた人たちの多くが、客はカンボジア人だったと証言している。カンボジアにいる欧米人と地元民の割合を考えれば当然の結果にも思えるが、ECPATによればこれは「小児性愛は欧米人が犯す犯罪だという思い込み」を覆した。

「カンボジア人男性は、色白で見た目の若い美しい売春婦、つまり未成年を好む」と、ECPATカンボジア事務所のチン・チャンベアスナ代表は10月の会合で語った。さらに、これまで欧米人だけに目を向けてきたせいで、地元民による犯罪が見落とされてきたと付け加えた。

 人身売買などの調査を行うNGO、SISHAのスティーブ・モリシュ代表は言う。「私が話した多くのカンボジア人男性は、相手は若いほうが良いと言い、それを隠すべきこととも思っていないようだった」

 さらにカンボジアの文化では、事件の加害者よりも被害者のほうが風評で傷つけられやすい。今年発表された国際人権団体アムネスティ・インターナショナルのカンボジアについての報告書によれば、性的に虐待された少女は、地元社会から追放されることが多いという。一方で有罪となった加害者が汚名を着せられることはほとんどない。

 こうした文化はそう簡単には変えられないため、政府はその犯罪が関心を集めやすい欧米人男性を標的にしてきたのだろう。だが人権擁護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局長代理フィル・ロバートソンはこう語る。「欧米人の小児性愛者は低い枝になった取りやすい果実。そろそろ高い木に登って地元の小児性愛者を捕まえるべきだ」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

訂正-台湾、米関税対応で27億米ドルの支援策 貿易

ビジネス

米雇用統計、3月雇用者数22.8万人増で予想大幅に

ビジネス

中国が報復措置、全ての米国製品に34%の追加関税 

ビジネス

世界食料価格、3月前年比+6.9% 植物油が大幅上
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 2
    5万年以上も前の人類最古の「物語の絵」...何が描かれていた?
  • 3
    「最後の1杯」は何時までならOKか?...コーヒーと睡眠の「正しい関係」【最新研究】
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    【クイズ】日本の輸出品で2番目に多いものは何?
  • 6
    アメリカで「最古の銃」発見...いったい誰が何のため…
  • 7
    得意げに発表した相互関税はトランプのオウンゴール…
  • 8
    テスラが陥った深刻な販売不振...積極プロモも空振り…
  • 9
    大使館にも門前払いされ、一時は物乞いに...ロシア軍…
  • 10
    「ネイティブ並み」は目指す必要なし? グローバル…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 7
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 8
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 9
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 7
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 8
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中