原油と核をめぐるインドのジレンマ
常任理事国になりたい
だがアメリカとEU(欧州連合)から圧力をかけられれば、インドは不本意でも従うだろう。ブラジルとトルコの先例に倣って、対イラン制裁決議に反対票を投じる可能性は低い。
結局のところ、インドは国際社会で「大国」として認知され、一定の影響力を持つことを熱望している。その目標への大きな一歩が、民生用原子力の分野におけるアメリカとの協力合意(05年)だった。あれでインドは、核保有国として実質的に公認された。今さらイランのような核疑惑国と手を結んで、この合意を台無しにするようなことは望んでいない。
インドはまた、国連の安全保障理事会常任理事国という名誉ある地位も狙っている。アメリカとEUの対イラン政策に反対すれば、この目標は達成できなくなる。
インドはさまざまな国から原油を手に入れることができる。だが常任理事国の椅子が手に入る場所は1カ所しかない。もちろん、それはイランではない。
[2010年8月25日号掲載]