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アフリカ「W杯テロ」は新たな聖戦の始まりか
ウガンダでW杯観戦中の市民を狙った爆弾テロは、ソマリアのイスラム武装勢力「アルシャバブ」の犯行とみられ、さらに近隣諸国が襲われる可能性がある
血の「報復」 W杯決勝戦を観戦中にテロの犠牲になった市民(7月11日、カンパラ) Benedicte Desrus-Reuters
ウガンダの首都カンパラで11日夜、サッカーワールドカップ(W杯)の決勝戦を観戦していた市民を狙った2件の爆発事件が起こり、少なくとも74人が死亡し、70人以上が負傷した。ウガンダ警察は、国際テロ組織アルカイダと関連があるソマリアのイスラム反政府勢力「アルシャバブ」の仕業と見ている。事実ならば、アルシャバブがソマリア国外で実行した初めての攻撃となる。
最初の爆発は、人気のバーやレストランが集中する地区にあるエチオピア料理店で起こった。直後に2回目の爆発が、多数のサッカーファンがW杯を観戦していたラグビークラブで起こった。両方とも多くの外国人が集まる場所で、アメリカ人1人をはじめ多くの犠牲者が外国人だった。
ウガンダとブルンジの両国はアフリカ連合(AU)の平和維持部隊として合わせて5000人の兵士をソマリアに駐留させており、アルシャバブは両国を攻撃対象とすると繰り返し脅してきた。ウガンダはさらに、欧米諸国が支援するソマリア軍の兵士を訓練する場所にもなっている。
ブルンジとエチオピアも標的?
事件の2日前には、ソマリアの首都モガディシュで行われた金曜礼拝で、アルシャバブの指揮官がウガンダとブルンジへの攻撃を示唆した。アルシャバブは、エチオピアに対しても強い憤りを持っている──理由は、06年にアメリカの後ろ盾の下で、エチオピア軍がソマリアの暫定政府を支援するため同国に侵攻したからだ。
武装勢力の指揮官の1人はAP通信の取材に対して、攻撃への支持を表明。「ウガンダは我々の敵の1つ。奴らを泣かせることは我々を幸せにする。アラーの怒りが敵の上に降りかからんことを」。だが爆発の当事者であるかどうかについては、肯定も否定もしていない。
一方事件後、アルカイダ系のウェブサイトで「アルシャバブの将軍」を名乗るシェイク・アブ・アルズベイルという人物が、犯行声明と見られる文章を投稿した。「ウガンダとブルンジの国民は、ソマリアの老若男女に対して両国軍が行った虐殺の報復を受けることになるだろう」
米当局は長らく、ソマリアがアフガニスタンのように国際的に活動するイスラム過激派の潜伏拠点となることを懸念してきた。エチオピアの介入やアメリカの多額の資金援助にもかかわらず、ソマリアの暫定政府はモガディシュのわずか数ブロック区画しか支配できていない。そしてそのわずかな支配を守るためにも必死に戦わなければならないのが現状だ。