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イタリア国の誇りオペラの「仕分け」に反対!
赤字に苦しむ歌劇場への政府助成金カット案に、バレリーナや歌手が猛抗議
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文化を守れ ローマでのデモに参加するバレリーナ Fulvio PaolocciーGlobalPost
数百年の歴史を持つイタリアの各オペラハウスが経営難に陥っている。歌劇場を運営する14の組織は昨年、総額2億4000万ユーロ以上の政府助成金を受けながら、大半が赤字だった。
赤字額はローマのオペラ座が630万ユーロ、フィレンツェ五月音楽祭劇場が240万ユーロ。最も名誉ある舞台であり、オペラ界の憧れの的であるミラノのスカラ座でさえ、収支をトントンに持ち込むのがやっとだった。
ボンディ文化相やトレモンティ経済・財務相はここ数カ月、オペラや劇場向けの予算の削減を検討してきた。ボンディは今回の改革を、国にとって「重要な文化の殿堂がさらに効率的な運営を行えるようにするための第一歩」と位置付ける。
だが25%の予算削減案には、国中から反発の声が上がった。6月末、楽団や合唱団がストを決行。5000人を超えるバレリーナや歌手が反対デモに繰り出し、公演初日など重要な舞台を拒否した。
スカラ座ではオペラ『ファウスト』が中止となり、オペラ座の歌手たちは『マノン』ではなくデモを演じた。オペラ歌手で、デモに参加したイバノ・レッカは言う。「政府はこの国の文化をつくる労働者を罰しようとしている」
(GlobalPost.com 特約)
[2010年7月14日号掲載]