最新記事

ポーランド

大統領選睨みで水害対策が後回しに?

2010年6月2日(水)15時14分
ジャン・シエンスキ

 6月20日に大統領選が行われる予定のポーランドで大規模な水害が起きている。一部の地域では町じゅうの建物が浸水に見舞われ、住民の救助にヘリコプターが出動。アウシュビッツ強制収容所跡の博物館も、展示品の移動や一時閉鎖を余儀なくされた。

 今回の大災害は大統領選にも影響を与えるかもしれない。ドナルド・トゥスク首相は、安全確保のために最大限の努力をすると国民に宣言。トゥスク率いる「市民プラットフォーム」から大統領選に立候補しているブロニスワフ・コモロフスキ大統領代行も同様の声明を出した。

 野党側も水害に大きな関心を示している。飛行機事故で死亡した大統領の双子の兄で、右派政党「法と正義」から立候補しているヤロスワフ・カチンスキ前首相は、出馬後の最初の演説で洪水の話を大きく取り上げた。同陣営からは、政府が水害予防を怠っていたという非難の声も上がっている。

 当面の問題は、水害対策に関する政府の判断に大統領選が影響を与えていること。非常事態宣言を発令すれば、憲法の定めによって選挙は最短でも3カ月延期される。非常事態宣言を政治的な目的に利用したと野党から批判されるのではないかという懸念が、政府に二の足を踏ませている。

GlobalPost.com特約)

[2010年6月 9日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

シリア暫定政権、扇動に警告し取り締まり開始 緊張高

ワールド

インドのシン前首相死去、92歳 初のシーク教徒首相

ワールド

イスラエルがフーシ派を攻撃、イエメン首都の空港など

ワールド

イラン大統領、1月にロシア訪問 協力協定署名へ=報
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2025
特集:ISSUES 2025
2024年12月31日/2025年1月 7日号(12/24発売)

トランプ2.0/中東&ウクライナ戦争/米経済/中国経済/AI......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊」の基地で発生した大爆発を捉えた映像にSNSでは憶測も
  • 2
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3個分の軍艦島での「荒くれた心身を癒す」スナックに遊郭も
  • 3
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部の燃料施設で「大爆発」 ウクライナが「大規模ドローン攻撃」展開
  • 4
    「とても残念」な日本...クリスマスツリーに「星」を…
  • 5
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
  • 6
    ウクライナの逆襲!国境から1000キロ以上離れたロシ…
  • 7
    日本企業の国内軽視が招いた1人当たりGDPの凋落
  • 8
    滑走路でロシアの戦闘機「Su-30」が大炎上...走り去…
  • 9
    なぜ「大腸がん」が若年層で増加しているのか...「健…
  • 10
    世界がまだ知らない注目の中国軍人・張又俠...粛清を…
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 3
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊」の基地で発生した大爆発を捉えた映像にSNSでは憶測も
  • 4
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 5
    ウクライナの逆襲!国境から1000キロ以上離れたロシ…
  • 6
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
  • 7
    おやつをやめずに食生活を改善できる?...和田秀樹医…
  • 8
    9割が生活保護...日雇い労働者の街ではなくなった山…
  • 9
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 10
    【駐日ジョージア大使・特別寄稿】ジョージアでは今、…
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 3
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊」の基地で発生した大爆発を捉えた映像にSNSでは憶測も
  • 4
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼ…
  • 5
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 6
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 7
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 8
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 9
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 10
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中