ネット時代の脳進化論
2010年3月23日(火)13時22分
破壊による創造の時代へ
一方、インターネットが思考に及ぼす好影響も指摘されている。ウェブサイトのリンクを通じてほかのサイトをたどれるようになったおかげで、「さまざまな考え方や情報を結び付け」やすくなったのではないかと、チクセントミハイは述べている。「その結果は、総合的な思考の促進か?」
相反する情報があふれ返っている不確実な状況は、思考の「ある種の流動性」を生み出し、思考が「動的」なプロセスになると、ケリーは主張する。
科学史家のジョージ・ダイソンは、インターネットが創造のプロセスを変えたと考える。以前は「手に入るあらゆる情報の断片を集めて、それを知識の枠組みにまとめる」必要があったが、いま必要なのは「不要な情報を除去するなり黙殺するなりして、隠れている知識の輪郭を浮き上がらせる」ことだとダイソンは論じている。
集積による創造の時代に代わって、破壊による創造の時代がやって来たのかもしれない。
[2010年2月17日号掲載]
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