中国が外国を無視し続ける理由
同様に、アフリカの中国系石油産業で働く労働者の苦情にも耳を傾ける。「人権が侵害されている」「貿易不均衡のために欧米諸国の雇用が失われている」といったイギリスやアメリカからの苦情には耳を貸さないにもかかわらずだ。
中国共産党に期待するな
もっとも、中国が国際舞台でソフトパワーを構築する努力をやめたというわけではない。
胡は昨年の夏、世界の大国としての地位を確立するために、中国のイメージを改善する必要があると語った。多額の資金を投じて世界各国の大学に中国語と中国文化を学ぶ孔子学院を設立しているのも、こうしたビジョンに基づいている。特にアメリカ人とイギリス人にとっては、恐ろしげな独裁政権よりも、偉大な孔子の名のほうが温情のある英知に結び付けて受け入れやすい。
とはいえ欧米諸国が訴える人権侵害や地球温暖化、金融市場の問題に、中国の指導者が真摯に向き合うことなど期待してはいけない。これまでどおり、中国にとって本当に重要なのは国内の世論なのだから。
[2010年1月20日号掲載]