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オバマ米政権中国に負けじとアジア外交重視
オバマ米大統領は11月13日からの初のアジア歴訪で、またもや前任者の外交方針を覆しそうだ。
ブッシュ前政権は中国やインドといった大国ばかりを重視していた。だが小国にも目を向けるオバマは中国、日本、韓国への訪問に加えて、米大統領としては初めてASEAN(東南アジア諸国連合)加盟10カ国首脳との会議に出席する予定だ。
クリントン国務長官は既にインドネシア(2月)やタイ(7月)などASEAN主要加盟国を訪問済みだ。11月4日には、キャンベル国務次官補が米政府高官としては14年ぶりにビルマ(ミャンマー)を訪れている。ライス前国務長官が4回のASEAN会合のうち2回を欠席したのとは対照的だ。
カーネギー国際平和財団のダグラス・ポールは、ブッシュが9・11テロ後にインドネシアを訪問した際は「一瞬で帰って行った」し、他のアジア諸国を訪れても対テロ戦争の話ばかりしていたと話す。
アジアの小さな国々は、アメリカが自分たちに注意を向けたことを歓迎している。これらの国々は、アジアで中国が影響力を拡大していることに懸念を募らせているからだ。ポールによれば、中国は3カ月置きに東南アジアのすべての国に当局者を派遣している。
シンガポールのリー・クアンユー顧問相は10月27日、訪米中のワシントンで行った演説で、中国が10月1日の国慶節(建国記念日)にこれ見よがしに行った軍事パレードに触れ、警戒の色を見せた。
リーは、中国には「国際社会のなかで他国と同等の責任を負う準備も意思もない」と指摘。「太平洋地域で(中国をしのぐ)大国であり続けることがアメリカの国益にとって不可欠だ」と主張した。キャンベルのビルマ訪問はそうし国益にかなった外交努力だったと、シンガポール国際問題研究所のサイモン・テイ会長は言う。
米政府はビルマを「第2の北朝鮮」──アメリカによって孤立させられ、支援を得られるならどんな国とでも手を組むような国──にすべきではないと悟ったのだ。
「オバマは、アジアがアメリカを締め出すような形で団結していることに気付いた」と、テイは言う。それはアジアにとってもアメリカにとっても好ましくない動きだ。
[2009年11月18日号掲載]