見通し暗い6カ国協議の再開
北朝鮮の交渉団に譲歩する権限はない
中国の温家宝(ウェン・チアバオ)首相が10月5日に北朝鮮を訪問した際にも、北朝鮮から具体的な譲歩は引き出せなかった。アメリカと北朝鮮の政府関係者が10月24日にニューヨークで接触し、その後サンディエゴの会議で再び顔を合わせたのは、オバマ政権が問題解決に前向きに取り組んでいることを示したものだとみられる。ブッシュ政権に向けられた「核問題の進展がないのはアメリカが妥協しなかったせいだ」という批判を免れたいのだろうだと、フレークは言う。「だが李局長が何ら実質的な権限を持たない限り、実際に持ってないと私は見ているが、進展はない」
6カ国協議の関係者の間では、北朝鮮の交渉団はわずかな譲歩も許されていないと見られている。要するに、北朝鮮上層部と直接接触するしか実を結ぶ手段はない。
オバマは6カ国協議の首席代表にキムを置いたまま、駐韓大使の経験もあるスティーブン・ボズワースを北朝鮮政策の特別代表に任命した。差し迫った交渉が必要となった場合、李を飛び越えて北朝鮮上層部と直接話をつけたいオバマの意図が伺える。
北朝鮮側は再三ボズワースの訪朝を呼びかけてきたが、米国務省は回答を拒否。訪朝が適当な成果を生む時期を待っている。一方でボズワースは、北朝鮮核問題でヒルに煮え湯を飲まされた同盟国の日本や韓国との関係の修復に当たってきた。
アメリカと北朝鮮の政府関係者は、民間のシンクタンク全米外交政策会議(NCAFP)が10月30日にニューヨークで開催する会議に出席し、三度顔を合わせることになっている。
Reprinted with permission from "The Cable" http://thecable.foreignpolicy.com, [28/10/2009].
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