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南アジアインド与党勝利でも
対米関係に影が
緊張が続くカシミール地方 Fayaz Kabli-Reuters
5月13日に終わったインドの総選挙で与党・国民会議派が圧勝して以来、米インド関係はさらに親密になるだろうと言われていた。だが悪い兆候が見え始めている。
インド政府はアメリカが温めているカシミール紛争解決案に対して、既に不快感を示している。この案には、カシミール地方に駐留するインド軍部隊の縮小が含まれているためだ。敵対するパキスタンは喜ぶだろうが、インド側は我慢の限界といっていい。ただでさえ08年11月にパキスタンの過激派がムンバイでテロを起こしたことで、インドは頭にきているのだ。
オバマ政権はまた、インドに核実験の禁止に同意するよう求めているが、インドは核兵器の開発を中止すれば自国が攻撃を受けやすくなることを懸念している。
2国間貿易では、米政府が農業補助金の削減を拒否したため、インドが交渉を遅らせてきた。与党が今回の総選挙で地方の支持を集めて勝利したことで、アメリカと妥協する可能性は減っている。
いずれも乗り越えられない問題ではないが、総選挙の祝賀ムードは既に消えている。
[2009年6月10日号掲載]