メーガン妃とヘンリー王子の「王室離脱の舞台裏」をイギリス人記者が記す...スタッフが気づいた「ある異変」とは?
Courtiers: The Hidden Power Behind The Crown
ハリーは激怒した。都合がつかないわけがないからだ。何のためにハリーが女王と2人で会おうとしているのか察知した廷臣たちが、邪魔をしたのだ。ハリーとしては、まずは女王を口説き落として、そのほかの家族と話をするという目論見だった。
ある関係者は、「2人きりで話をしなくてよかったです。お互いに全く違う解釈をする可能性がありましたから」と指摘した。
面会を断られたハリーは一瞬、怒りに任せて空港から直接サンドリンガムに向かい、取り次ぎなしで直接女王に会いに行こうかとさえ考えた。我に返り、最終的にその考えはあきらめたが、それは、そのような行動さえ起こしかねないほど不満がたまっているサインだった。
ハリーとメーガンが離脱計画を1月8日に発表し、5日後の1月13日にロイヤルファミリーが一堂に会してその件について話し合った(いわゆるサンドリンガム会議)ことを考えると、彼らのスケジュールは思ったより柔軟なようだ。
とはいえ、彼らにしてみれば、ハリーとメーガンに対する怒りは収まらない。共同声明について話し合いの場を持とうとしていたにもかかわらず、メグジットの発表をぎりぎりまで知らされず、皆既に激怒していたのだ。
宮廷の側近たちにしても、柔軟に対応できずに2人の怒りを買うのがお決まりなので、結局、2人の都合のいいように使われていた。一方のハリーとメーガンは不満だらけで追い詰められており、誤解されているとも感じていた。
たとえ要求が理不尽だとしても、もしほかの宮廷のメンバーがその状況を理解できなければ、王室離脱の交渉は決してよい終わり方をしないだろう。
ヴァレンタイン・ロウ(Valentine Low)
イギリスのジャーナリスト。全寮制パブリックスクール、ウィンチェスターカレッジを経て、オックスフォード大学を卒業。1987年から『The London Evening Standard』で記者を務めた後、2008 年から『The Times』で王室取材を担当。2021年5月、オプラ・ウィンフリーのインタビュー映像が放映される数日前に、メーガンによるパワハラ疑惑の記事を発表する。著書に『One Man and His Dig』(Simon & Schuster、2008年、未邦訳)がある。
『廷臣たちの英国王室──王冠を支える影の力』
ヴァレンタイン・ロウ[著] 保科 京子 [訳]
作品社[刊]
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