ニュース速報
ビジネス

銀行業務分離規制廃止を、英銀トップが連名で政府に書簡

2025年04月28日(月)13時44分

 4月26日、銀行に伝統的なリテール業務とリスクの高い投資銀行業務の分離を義務付ける「リングフェンス」と呼ばれる規制は、銀行が企業や経済を支援する能力を削ぐとして、HSBCなどの英銀行が廃止を求める書簡を財務省に送ったことが分かった。ロンドンの金融街、昨年2月撮影(2025年 ロイター/Toby Melville)

[26日 ロイター] - 銀行に伝統的なリテール業務とリスクの高い投資銀行業務の分離を義務付ける「リングフェンス」と呼ばれる規制は、銀行が企業や経済を支援する能力を削ぐとして、HSBCなどの英銀行が廃止を求める書簡を財務省に送ったことが分かった。

リングフェンス規制は、2008年の金融危機の際に経営危機に陥った銀行を公的資金で救済したことを教訓として導入された。英銀行界からはかねて、この規則が他の国際金融センターに対する競争力を妨げているとの声が出ていた。

HSBC、ロイズ銀行、 ナットウエスト、サンタンデールの英法人各行の最高経営責任者(CEO)は書簡で、世界経済の課題を考えると、英政府が「英銀が国内企業を支援する能力への不必要な制約」を取り除くことが極めて重要であり、英国への投資家に対し改革へのコミットメントを最も明確に示す必要があると述べた。

HSBCの広報担当者は、スカイニュースが26日に最初に報じたこの書簡が存在し、同行が署名したことを確認した。ナットウエストとサンタンデールUKは書簡に関するコメントを拒否した。ロイズのコメントは得られていない。

英財務省の報道官は、銀行部門は「経済成長という最優先課題を達成するために不可欠」であり、この目標達成のために、政府はより多くのリスクテイクを認めることに前向きであると説明。「リーブス財務相が、過度にリスクを重視するのでなく、成長を支援する規制への新たなアプローチとして、史上初の産官共同の『金融サービス成長・競争力戦略』の策定に取り組んでいるのも、そのためだ」と述べた。

イングランド銀行(英中央銀行)のベイリー総裁は2月、金融規制の負担を巡る批判に対し、世界金融危機のコストを忘れてはならないと指摘し、経済成長と金融の安定はトレードオフの関係ではないと述べた。

イングランド銀行は26日、書簡に関するコメントを控えた。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

スペイン・ポルトガル大規模停電、一部復旧 原因なお

ワールド

トランプ氏、自動車関税の影響軽減へ 29日発表=米

ビジネス

アングル:欧州中小企業は対米投資に疑念、政策二転三

ワールド

カイロでのガザ停戦交渉に「大きな進展」=治安筋
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 3
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 4
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 7
    トランプの中国叩きは必ず行き詰まる...中国が握る半…
  • 8
    体を治癒させる「カーニボア(肉食)ダイエット」と…
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    【クイズ】米俳優が激白した、バットマンを演じる上…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 5
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 6
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 7
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 8
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 9
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 10
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 4
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中