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欧州ワインに明暗 若者のワイン離れ進むフランス、ワイナリーツアーが盛り上がるスイス

2024年02月09日(金)13時05分
岩澤里美(スイス在住ジャーナリスト)

ギリシャではワインバーが人気

アテネのワインバーの入口

アテネ初のワインバー「Oinoscent」は2008年にオープンした(筆者撮影)

ギリシャでも、雪が降る北部からエーゲ海に浮かぶ南部の島々まで、全国でワインを生産している。ワインを飲む習慣は古代ギリシャ時代から続いているものの、ギリシャのワインはあまり目立たない。長年にわたって品質が安定せず、ワイナリーの数が少なかったことが関係している。しかし、若い醸造家が増えたことで、最近、ギリシャワインの国際的評価は高まっている。

首都アテネを訪れると、ワインバーやワインショップがあちらこちらにあることに気付く。2008年、アテネ初のワインバー「Oinoscent」のオープンを皮切りに、アテネでも国産、輸入品問わず良質なワインが揃い、気軽に外飲みできるようになった。ワイナリーツアーもある。

ギリシャでは、今、ワインがブームといってもいい状況かもしれない。過去10年間で初という、ギリシャ人のワイン消費についての調査(2023年)によると、ワインが好きな人は回答者の70.5%に上った。ビールは42.3%、ギリシャのリキュールのチポウロは19.6%、ウーゾは13%、ギリシャ独自の白ワインのレツィーナ11.7%(以下省略)という結果だ。「ギリシャワインと輸入ワインのどちらが好きか」という質問には、94.8%がギリシャワインと回答した。

回答者の年齢層は18~25歳が63.9%、26~35歳と36~45歳がそれぞれ13%、46歳以上は10%のみ。全体の男女比は男性が3割、女性が7割だったため、この調査に限れば、最近は「ワインを好む女性が多い」ということになるか。

今後、各国のワイン文化はどう変わっていくだろうか。サステナビリティの観点からは、どの国でもオーガニックワインの生産を増やしたり、地産地消がさらに重視されるとよいが、温暖化によるぶどう品種の切替などの課題もあって時間がかかりそうだ。


岩澤里美[執筆者]
岩澤里美
スイス在住ジャーナリスト。上智大学で修士号取得(教育学)後、教育・心理系雑誌の編集に携わる。イギリスの大学院博士課程留学を経て2001年よりチューリヒ(ドイツ語圏)へ。共同通信の通信員として従事したのち、フリーランスで執筆を開始。スイスを中心にヨーロッパ各地での取材も続けている。得意分野は社会現象、ユニークな新ビジネス、文化で、執筆多数。数々のニュース系サイトほか、JAL国際線ファーストクラス機内誌『AGORA』、季刊『環境ビジネス』など雑誌にも寄稿。東京都認定のNPO 法人「在外ジャーナリスト協会(Global Press)」監事として、世界に住む日本人フリーランスジャーナリスト・ライターを支援している。www.satomi-iwasawa.com

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