最新記事

ライフスタイル

欧州ワインに明暗 若者のワイン離れ進むフランス、ワイナリーツアーが盛り上がるスイス

2024年02月09日(金)13時05分
岩澤里美(スイス在住ジャーナリスト)
野外パーティーでアルコールを飲む若者たち

ワインの楽しみ方も時代に合わせて変化を求められている Cast Of Thousands - shutterstock

<若者のアルコール離れや温暖化の影響でワイン離れが進んでいると言われるが──>

ヨーロッパのお酒といえば、ワイン。フランス、イタリア、スペインのようにワイン輸出大国はもちろん、東側の小国でもワインは生産されている。国際ブドウ・ワイン機構(OIV)の統計によると、2023年の世界のワイン生産量は過去60年間で最少になると予測されている。その要因は、渇水や高い湿度といった極端な気象条件だった。気候変動は、ワインの原料となるぶどうの成分の変化をすでに引き起こしている。温暖化により、「将来育たなくなる品種も出てくるだろう」との危惧をワイン生産者やワインに造詣が深い人から聞いたこともある。

ワインにまつわる問題は気候変動だけではない。若者のワイン消費が減ったり、戦争による物価上昇でワインを買い控える傾向が表れているという指摘もある。ワイン生産は世界中で行われており競争も激しい。そんななか、昨年フランスでは政府が約4億本の余剰ワインを処理するため、2億ユーロ(320億円)の支援をすると発表した。これらのワインは蒸留してアルコールを抽出し、手指消毒剤や香水などに利用されることになるという。

ヨーロッパのワイン文化は今、どうなっているのか。筆者が住むスイスを含め、3か国についてみてみよう。

本場フランスで深刻なワイン離れ

フランス産の白ワイン

パリのレストランで提供されるフランス産の白ワイン(筆者撮影)


フランスでは、若い世代のワイン消費が減り、ノンアルコールや低アルコールドリンクの人気が高まっている(一部では「no and low alcohol」のnoとloを合わせ、ノロ飲料と呼ばれる)。マーケティングコンサルティング業のSOWINEの2022年の調査 によると、18~65歳の回答者のうち29%がノロ飲料を飲んでいる。18~25歳の若い層を見ると45%にも上る。アルコール摂取を減らしたい、健康のため、味が好き、カロリー消費を抑えたいというのがノロ飲料を選ぶ理由だという。若者の健康志向が垣間見える。

だが、ほかにも理由はありそうな気がする。16年ほど前のものだが、「フランスのミレニアル世代はなぜワインを飲まないのか」というフランスの20代への聞き取り調査は参考になる。そこでは、①伝統...ワインは古臭い(ワインは年配者のための飲み物だ)、②イメージ...フランスで広がる反アルコールキャンペーンにより、アルコールに良い感情を抱いていない、③味覚...ワインの味が好きではない、④値段...いいワインは値が張る(ビールなどはワインよりも安い)、⑤種類...ワインは種類が多過ぎてよくわからないという5点が指摘されている。

社会的価値創造
「子どもの体験格差」解消を目指して──SMBCグループが推進する、従来の金融ビジネスに留まらない取り組み「シャカカチ」とは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

大手IT企業のデジタル決済サービス監督へ、米当局が

ビジネス

日産、米国従業員の6%が早期退職に応募 12月末付

ワールド

ウクライナ和平案、ロシアは現実的なものなら検討=外

ワールド

ポーランドの新米基地、核の危険性高める=ロシア外務
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…

  • 2

    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…

  • 3

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 4

    【ヨルダン王室】世界がうっとり、ラジワ皇太子妃の…

  • 5

    アジア系男性は「恋愛の序列の最下層」──リアルもオ…

  • 1

    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…

  • 2

    キャサリン妃が「涙ぐむ姿」が話題に...今年初めて「…

  • 3

    アジア系男性は「恋愛の序列の最下層」──リアルもオ…

  • 4

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 5

    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…

  • 1

    「家族は見た目も、心も冷たい」と語る、ヘンリー王…

  • 2

    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…

  • 3

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃が出産後初めて公の場へ...…

  • 4

    カミラ王妃はなぜ、いきなり泣き出したのか?...「笑…

  • 5

    キャサリン妃が「大胆な質問」に爆笑する姿が話題に.…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:超解説 トランプ2.0

特集:超解説 トランプ2.0

2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること