女性のための「権力」の使い方──「シスターフッド」こそが、最大の武器である
POWER, FOR ALL
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<ジェンダーレスが叫ばれる中、性差によって「権力」の使い方が異なるとはなかなか言いづらい。しかし、現実問題として女性差別は存在するし、今も多くの女性たちが「ガラスの天井」を破るために努力している>
ハーバード大学ビジネススクール教授のジュリー・バッティラーナ教授らによると、女性の場合は女性同士で結束したほうがいいという(『ハーバード大学MBA発 世界を変える「権力」の授業』(CCCメディアハウス、152ページ)。
MBAを修了し、就職したばかりの学生のネットワークについて調べた結果、男女問わず、ビジネススクール在学中に学生間のネットワークが濃密だった人ほど、よりよい役職と報酬で採用されている。しかし、女性の場合はそれだけでは不十分で、他の女性との緊密なネットワークがもう1つの条件であるという。
豊富な人脈を持ち、かつ女性同士のインナーサークル(内輪の小集団)に属していた人は、男性中心のインナーサークルにしか属さなかった女性の2.5倍ほど、高いポジションでの採用を勝ち取っていたことが研究結果から明らかになっている。
彼女たちは強い絆で結ばれ、雇用主や採用機会についてのノウハウや情報を共有し、女性の就職活動の成功に必要なコネを紹介し合う。こうした仲間との支え合い「シスターフッド」がなければ、男性と同等の資質を備えていても、男性と同じ確率で上級職でのポジションを得ることが困難という現実が残念ながらあるのだ。
実際、男性社会で成功しようとする女性たちが同性の仲間からの理解とサポートを得られるという点は安心材料であり、強みとなる。その一方で、女性はいちいち女性同士のネットワークを築かなければ、職場に基盤を作ることができないのか? また、同性というだけで無批判に群れるべきなのかという疑問も浮上する。
これについては「類は友を呼ぶ」という諺があるように、似た者同士の付き合いに終始していると可能性が著しく狭まり、長期的には有害ですらあることも実は要注意だ。
では、どうしたらいいのか? そのような事態を避けるためには、まずは自分たちが類似性に頼ったネットワークの中だけにとどまるべきではないという、「外」からの視点も持つことが決定的に重要になる。
実は、こうした女性同士の結束が意味を持つのは、その集団が価値の高いリソース(資源)を支配できる場合だけだ。つまり相手が重視し、欲しいと思っているものを自分たちが持っているのかという客観的な視点を持てなければ、単なる「内輪」になってしまう。
さらに重要なのは、その「内輪」に満足することなく、積極的に自分と異なる属性の人々(ここでは男性)とうまく関係を構築できなければ、結局は「負け犬」になってしまうという点だ。そういう意味でも女性同士の結束が生む強さを理解しつつも、多様なバックグラウンドと経験を持つ人々との人脈を積極的に構築していくことが、社会的な成功につながる道となる。
一方で、企業側は女性の活躍のためにどうしたらいいのだろうか?