「エリザベス女王はジャマイカではなく英国の女王だ」 英連邦加盟国で国家元首解任プロセスは既に始まっている
今年8月にジャマイカは独立60周年を迎えるが、政治家、財界人、医師、ミュージシャンを含む著名人たちが、奴隷制度に対する王室の賠償と謝罪を要求する運動活動はいまだに続いている。
アフリカ系住民の地位向上やアフリカ回帰を唱えるジャマイカの思想運動「ラスタファリ運動」を主宰するレゲエ詩人(ダブ・ポエット)のムタバルーカさんは現地紙ジャマイカ・オブザーバーに、「共和制に移行しても食べ物の値段は変わらない。でも、人々の考え方や意識に心理的に影響する」「私たちが自らをどう見るかという内面的な意義がある」と指摘した。
ある政府関係者によると、共和制移行問題について近頃、政府トップ機関で議論されているという。「共和制導入への道のりは簡単ではないが、政府は長期間大きな圧力にさらされてきた」と別の政府関係者は語る。
女王国家元首解任に反対する声も
その一方で、ジャマイカ政府内にはエリザベス女王国家元首解任計画への抵抗派もいるようだ。
ホルネス首相は、選挙で共和制導入を公約していたにもかかわらず、7月に女王の枢密院に任命された。
これにより、運動家は彼の共和制問題に対する意図を疑問視するようになった。ジャマイカ国民の中には、共和制への速やかな移行に懐疑的な人もいるようだ。「首相が枢密院での地位を受け入れてすぐに、政府が動くとは思えない。共和国化の重要性は個人的なことではなく、ジャマイカ植民地時代の過去の呪縛を取り去ることに意義がある」と、ある運動家は語る。
3月中旬、ジャマイカのオリビア・グランジ文化大臣は、王室の訪問に先立ち、政府が英国に奴隷制の賠償を求める政策を推進していることを認めていた。政府の諮問機関である賠償評議会メンバーに向けて、グランジ大臣は「賠償へのロードマップ」政策策定のペースを上げる時期が来たと述べた。
評議会は「祖先に対して行われた残虐行為、そしてこの歴史から始まり、今日我々に対して続いている暴虐に対する正義のために働きかけなければならない」と述べ、「話し合い」の時は終わり、「行動」が必要であると付け加えた。「金銭的補償を含む法的・外交的行動のための手順が必要だ」とグランジ大臣は続けた。
野党も概ね合意している。人民国家党のマーク・ゴールディング党首は「建設的な対話は、このプロセスを進める最善の方法であり、イベントへの参加はその機会のためである。目下の課題は、現在の人格の問題ではなく、むしろ過去の原則的な清算の必要性についてである。これらの問題に対する我々の立場を直接伝えるつもりだ」と、ウィリアム王子夫妻の訪問を控えたタイミングで彼は語っていた。