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全身重度の大やけどで見た目問題に苦しんだ女性は、どうして「自分は美しい」と思うようになったのか

2022年02月24日(木)16時15分
岩澤里美(スイス在住ジャーナリスト)
マファルダ・ダ・シルヴァ

大やけどによって変わった自分の顔のコンプレックスを克服したマファルダ・ダ・シルヴァ photo:Valérie Jaquet

<変わってしまった自分をどうやって認めることができたのか......>

日本では「見た目問題」という言葉が多く聞かれるが、見た目でいじめや差別を受けている人たちはヨーロッパにもいる。

Changing Faces(顔や体のあざや傷、症状など目立つ損傷をもつすべての人たちが、その人らしく生きていけるよう支援しているイギリスの団体)によると、イギリスには先天的・後天的な理由で特徴的な外見の人が少なくとも130万人いると推定され、その違いが顔にある人は56万9000人を占めている。同団体の調査では、そうした人たちの中でも、若者のほぼ半数が学校で外見に関していじめを受けた経験があるという。そして、その80%が学校側は助けてくれなかったと感じている(中学校時代に助けてもらえなかったと感じた人は小学校時代より9%多い)。

筆者の住むスイスでは、先月、フリーペーパー「20ミヌーテン」で公開された女性のビデオレポートが注目を集めた。21歳のマファルダ・ダ・シルヴァ(Mafalda Da Silva)さんが子どもの頃の事故について語り、大やけどによって変わった自分の顔をありのまま見せている。

7歳の時、旅行中にガス爆発

マファルダさんは、7歳の時、家族旅行でポルトガルに滞在していて大やけどを負った。ある朝、ポルトガルの別荘で父親が目覚め、室内が臭いことに気づいてガス栓を止めたが、朝食を用意するためにお湯を出した瞬間に爆発が起きた。マファルダさんはまだ寝ていて、火の海の中で目が覚めた。熱気がおそい、ほんの短い間に「自分は死ぬのか生きるのか」などありとあらゆる思いがこみ上げたという。ショックで動くことができずにいたが、1歳年上の兄が部屋に助けに来てくれ、一緒に脱出し一命を取り留めた。

別の記事で「兄と一緒に近所の家へ駆けこみました。自分の体から皮膚が剥がれるのを目の当たりにしました」と描写しているように、その時の彼女のショックは想像に難くない。医師たちは、マファルダさんもやけどを負った彼女の家族や親戚も助かる見込みは少ないと思ったという。

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