最新記事

人工授精

「処女の母親」という選択 性交渉経験のないままシングルマザーになった彼女の想い

2022年02月20日(日)21時05分
田中ゆう

IUIはトラウマ的経験

2017年、ゴッドソールは33歳のときに決意し行動に起こした。オンラインで精子提供者を選び、子宮内精子注入法(IUI)として知られる人工授精のために2,000ドル(約23万円)以上を支払い、施術台に乗った。これは彼女の人生で最も「トラウマ的な経験」の1つだったという。

「医師らは、子宮内に精子を注入する専用のカテーテルを挿入する前に、膣を開くために検鏡を使ったのですが、それがとても苦痛でした」

「医師らは後から、私の感じた痛みは処女であることが理由だと説明しました。心理的にも肉体的にも、私はそこでの活動に慣れていなかったのです」

初めての処置は失敗に終わり、ゴッドソールはさらに数千ドルを費やしました。そしてついに2018年半ば、人工授精に成功し妊娠したことを知って大喜びした。

母親になることは価値がある

シングルで、しかも性行経験のないまま母親になったゴッドソール。心身ともに大きな苦痛とともに歩んだ道のりだった。

しかし、人工授精を決断しスカーレットを産み「母親になることは価値がある」と語った。スカーレットは間もなく3歳になる。

220220-nww-002.jpg

母親業は想像以上に魔法のようなもの Courtesy Kimberley Goodsall 

さらに、2人目も希望しているという。また精子提供を受け、人工授精で妊娠し産んで、スカーレットを「お姉さん」にしてあげたいのだ。しかし、シングルマザーである彼女には二度目の人工授精にかかる費用は高すぎる。残念だが、彼女に経済的な余裕はない。

ゴッドソールはそもそも結婚するために男性と出会うことを否定はしていないがスカーレットを授かって分かったことがある。それは「誇り高き処女」の自分は、汗をかいてセックスに勤しみシーツの間で蒸れたりするよりも「母」になることの方が充実しているということだ。

「セックスをしたことがない自分は普通じゃないと思っていたし、セックスがどんなものかも知らずに死にたくありませんでした」とゴッドソール。

「今でもセックスがどういうものか、経験してない私は損をしているんじゃないかと思うことはあるけど、将来を約束できない適当な相手とするほどではない。そんなことより、娘がいるという事実がずっと大切なんです」

<注目の記事>
女性の胎内で育てる必要はなくなる? ロボットが胚から育てる人工子宮システムを中国が開発
騙されて子宮を奪われるインドの農民女性たち
子供が欲しかった僕は、女友達と恋愛抜きで子供の「両親」になった

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米石油・ガス掘削リグ稼働数、2週連続減少=ベーカー

ワールド

台湾の安全保障トップが訪米、トランプ政権と会談のた

ワールド

北朝鮮の金総書記、特殊作戦部隊の訓練視察 狙撃銃試

ビジネス

TikTok米事業売却計画保留、中国が難色 トラン
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 3

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 4

    2つのドラマでも真実に迫れない、「キャンディ・モン…

  • 5

    アメリカ日本食ブームの立役者、ロッキー青木の財産…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:引きこもるアメリカ

特集:引きこもるアメリカ

2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?