「身内下げ」が子どもの自己肯定感を奪う
嫌みにならずに「子どもを上げる」方法
我が子がほめられた時、どうしたら子どもを下げずに、かつ、相手に嫌みにならない対応ができるのか、少し見ていきましょう。
対応その1は「自分を下げる」です。
「◯◯ちゃんは本当に賢いね」と言われたら、「そうなのよ、トンビがタカを生んだのよ」「そうなのよ、私に似なくて本当によかったわ」と、子どもへのほめ言葉は素直に受け入れ、すかさず親が自分を下げれば嫌みにならずに済みます。(笑いにしないと嫌みになる可能性があるので注意)
対応その2は「身内を上げる」です。
「◯◯ちゃんは頭がいいね」とほめられたら「そうなのよ、旦那に似てくれて助かったわ」「そうなの、きっとおじいちゃんの隔世遺伝だわ」と、パートナーや身内を上げるのもいい方法です。身内を下げるのはいけませんが、上げるのであれば何の問題もありません。(こちらも笑いにしないと身内自慢になる可能性があるので注意)
ちなみに「ほめる文化」が浸透しているアメリカでは、子どものことをほめられたら、親は「Thank you!」と相手に感謝します。人からほめてもらうことで子どもに自信がつきますし、親の子育てをほめられていることでもあるので、ごく自然に「ありがとう/Thank you」という言葉が出てくるのです。
これを日本で取り入れるのも良い方法です。「◯◯ちゃんはすごいね」と言われたら「ありがとう。◯◯もがんばっているみたい」あるいは「ほめてくれてありがとう。でも◯◯ちゃんもすごくがんばっているよ」と相手の子どもをほめ返すと嫌みにならずに済みます。
謙遜することが習慣になると...
子どもは親や身近な大人の言動からコミュニケーションの方法を学びます。もちろん「自分を下げる」という日本的な謙遜表現も自然に身につけていきます。個人差がありますが、一般に小学高学年くらいになると、子どもも自分を「下げる」表現を使うようになります。
友だちから「すごいじゃん!」「頭いいよね!」とほめられた時、心の中ではそう思っていなくても、「そんなことないよ」「全然だめだよ」「私なんて」と、自己否定するようになります。
子どもは謙遜しているつもりでも、自己否定やネガティブな言葉が習慣化すると、本当に気持ちが下がり、やる気を失っていくという悪循環に陥る可能性があります。謙遜文化がある日本社会で子どもを自信減退から守るには、親が肯定的な言葉がけを増やし、自信の補充を行うことが必要です。
ポジティブな言葉は子どもの自己肯定感を高めることはもちろん、学力の発達にも良い影響を与えることがわかっています。米クリエイティング・ウィー・インスティテュート(Creating We Institute)の研究によって、肯定的な言葉は幸福ホルモンであるオキシトシンの生成を増やし、知的能力や生産性を高めることがわかっています。
子どもにとってポジティブな言葉とは、「ありがとう」「頼りになるわ」「助かるわ」など感謝を伝える言葉。「生まれてきてくれてありがとう」「○○ちゃんはママの宝物よ」「○○ちゃんが大好き」など子どものあるがままを受け入れる言葉。そして、「やさしいね」「集中力があるね」「観察力がすごいね」「粘り強いね」「面白い発想だね」「いい笑顔だね」「運動神経がいいね」など子どもの良い部分を認めて、ほめる言葉です。