エリザベス女王の憂鬱、「健康不安説」「不人気な息子」「もっと不人気な孫」
GOD SAVE THE QUEEN
米ピープル誌は21年10月号で、英王室の伝記作家ロバート・レイシーによる特集記事を掲載した。この中でレイシーは王室の未来はチャールズではなく、22年に40歳になるウィリアムにあると示唆した。その直後にウィリアムが同誌のインタビューに応じたことから、このセオリーの信憑性は一気に高まった。もしその内容が全くの嘘で、ウィリアムが不快感を抱いたなら、インタビューを受けるはずがないからだ。
「小さなしこりはずっと残るだろう」と、ジュノーは語る。「(チャールズとウィリアムは)仕事もほぼ同じだ。どんな父子も互いにライバル意識を抱いているものだ。そして父親はまだ、身を引いて息子に道を譲る気にはなれていない」
チャールズを永遠に苦しめるダイアナの影
「このことは、2人の間に常に緊張をもたらすだろう。昔と比べれば良くなったが、やっていることが同じなのだから」
イギリスの人口動態と社会的潮流も、王室には逆風になる。ユーガブの21年の調査によると、18~24歳のうち選挙で国王を決めたほうがいいと考える人の割合は41%。世襲がいいと答えた31%を10ポイントも上回った。
ジェンダー平等に対する意識の高まりも、王室には打撃になるかもしれない。イギリスは16世紀のエリザベス女王から1980年代のマーガレット・サッチャー首相まで、女性リーダーに統治されてきた歴史がある。だが現在の女王の後は、チャールズ、ウィリアム、ウィリアムの息子ジョージと、男性の国王がおそらく何十年も続く。
チャールズはダイアナとの醜い離婚劇と、彼の冷淡さと不倫がダイアナを苦しめたという人々の記憶と共に生きなければならない。「それはチャールズを永遠に苦しめるだろう」とジュノーは言う。「ダイアナの命日のたびに彼女が話題になり、チャールズとの関係や『新事実』が明らかになる。また、そうした情報をうのみにする人はいるものだ」
「『ザ・クラウン』のような作品も、チャールズについて誤ったイメージを世間に抱かせるきっかけになる」とも、ジュノーは言う。
20年11月に配信が始まった『ザ・クラウン』の第4シーズンは、ダイアナが夫婦関係の破綻により過食症に追い込まれる姿が描かれる。そして22年に配信予定の第5シーズンでは、1996年の離婚と、その翌年のダイアナの死に至るまでの過程が描かれるだろう。ということは、22年は英王室にとって最高の年にはならないかもしれない。
それでもチャールズは、いずれ生涯待ち焦がれてきた国王の座に就く。そして不和とスキャンダルに満ちた一族の家長も引き受ける。そのとき何が待ち受けているかは、本人も知るまい。庶民としては「神よ、国王を守りたまえ」と祈るだけだ。