新型コロナのワクチン、生理痛や周期に影響? 英で3万人が報告
なお同博士は、臨床試験において、ワクチン接種済みのグループと未接種のグループとでは、妊娠率はほぼ同じだったとして、ワクチンと不妊の関連性を否定している。また、ワクチンと生理の乱れの関係が明らかになれば、生理周期をもとに妊娠を計画している人にとって、有益な情報になるとの考えも示した。
とはいえ、英国では具体的な調査の話は出ていない。メイル博士は現在、ワクチン接種と月経異常との関連性を示す確固とした証拠を待っているところだとしている。医療関係者に対しては、ワクチン接種後に生理に変化があったという相談があったら、イエローカード制度を使っての報告を促すよう呼びかけている。
米国では調査に約2億円を交付
米国でも同様に、ワクチン接種後に、生理の周期が乱れた、生理痛がひどくなった、経血量が増えた、といった声がソーシャルメディアに見られているという。米ニューヨーク・タイムズが報じたもので、中には、閉経したのに数年ぶりに生理がきたという女性もいるとしている。
こうした状況を受け、米国立衛生研究所(NIH)は5つの研究機関に対し、合計167万ドル(約1.8億円)を交付し、新型コロナのワクチンからの生理への影響を調査することになった。
リサーチを行うのは、ボストン大学、ハーバード大学医学部、ジョンズ・ホプキンズ大学、ミシガン州立大学、オレゴン健康科学大学の5機関。1年かけて、多様な地理、人種、民族を対象に、新型コロナのワクチンと月経異常の関連性や、影響が起きる長さ、原因などを調べる。あるプロジェクトは、思春期の女性に特に焦点を当てて調査を行う予定だ。
前述のメイル博士はBMJの記事の中で、本件でもっとも重要な学びは、医療の介入が生理にどのような影響を及ぼすかといった調査は、将来的には後付けであってはならないという点だ、と述べている。臨床試験では、参加者が月経異常を経験していたとしても、聞かれない限り、自発的に報告することはないだろうと指摘。将来的には、新型コロナのワクチンを含め臨床試験の際には、生理周期や出血の状況についても、積極的に聞き取りを行うべきだとの考えを示した。