焼き肉王国・韓国にやってきたベジタリアン旋風
Beyond Barbeque
菜食主義の流行は焼き肉以外の韓国料理を知る機会になるかもしれない BONGHYUNJUNG/ISTOCK.
<代用肉やファッションはもちろん兵役中でも菜食主義の選択が可能に>
韓国料理といえば焼き肉。そんなイメージが強い韓国で、菜食主義への関心が高まっているという。そのトレンドに、企業だけでなく政府も注目し始めた。
韓国菜食連合によると、韓国で現在、なんらかの菜食主義を実践している人は約1500万人。一般のベジタリアンのように肉を食べないだけでなく、卵や牛乳などの動物性食品も口にしないビーガンは約50万人いるという。
菜食主義の情報を求める人も年々増えているようだ。韓国の食品飲料新聞によると、同国最大のポータルサイト「ネイバー」での菜食主義に関するブログ投稿は、2015年は7000件だったが、19年には約3万件まで増えた。
こうしたブログで肉の消費量を減らすべき最大の理由として挙げられているのは健康増進だ。健康な食生活について言及しているブログは63.1%、倫理的な理由を説くブログは52.9%、環境保護への関心は36.2%、減量は26.4%だった。
菜食主義のセレブが増えていることも、大衆の関心が高まる原因になっているようだ。歌手のイ・ヒョリは、人気リアリティー番組で肉を食べない生活を披露しているほか、最近はビーガン仕様(つまりフェイク)のレザージャケットを着てテレビ番組に出演して話題になった。
イのビーガン・ファッションが物語るように、韓国のベジタリアンブームは食の世界にとどまらない。大手化粧品メーカーのアモーレパシフィックは、昨年発表した商品ライン「イナフ・プロジェクト」を「ビーガン対応」と銘打って宣伝している。
コロナ禍の意外な問題も
もちろん、このブームに一番注目しているのは食品業界だ。アメリカの代用肉メーカー大手ビヨンド・ミートは、はやくも19年春に韓国市場への進出を果たした。韓国の大手金融グループの未来アセットは、やはりアメリカの代用肉メーカーであるインポッシブル・フーズに1億5000万ドルを投資した。
これに負けていられないと、韓国のスーパーマーケット大手ロッテマートは昨年、代用肉製品群「コギ・テシン」を発売。ファストフードのロッテリアも、代用肉を使った「ミラクルバーガー」を発売している。