森会長だけじゃない、世界は女性差別にあふれてる!
STAY HOMEで女に家事を強要?
同じく、政府の発信した情報がネットで炎上したのがイギリスだ。先月28日イギリス政府は、コロナ拡大防止を呼び掛けるポスターを発表した。「変異種感染が拡大中」の文句とともに、STAY HOMEを呼びかけるイラストが描かれているが、家事をしている動作と子供にホームスクールする動作の絵はすべて女性で表現され、4枚の絵のうち男性らしき人の動作は、ソファーに横たわってくつろぐ様子のみだった。
炎上が明るみになると、ジョンソン首相のスポークスマンは「このポスターはイギリス政府の(女性に対する)見解を反映しているわけではない」と釈明し、広告を撤回した。
洗濯タグに「女性に渡してください」
女性の社会進出が進んでいるとはいえ、古今東西やはり「家事は女性がするもの」という認識が今でも根強く残っているのだろう。1月16日にはイタリアでこんな炎上事件が発覚し、世界中から批判の対象になっている。
洋服の裏側に付いている小さなタグには、原材料や原産地、洗濯する方法など注意事項が記載されているが、イタリアのあるアパレルメーカーSuccessori Bernagozziの製品には、英語で「女性に渡してください(GIVE IT TO YOUR WOMAN)」と記載されていたという。これを発見したのは、トスカーナ州チェルタルド市のジャコモ・クチーニ市長だった。洗濯をしようと自分のズボンを洗濯機に入れる際にタグを確認し、この記載を見つけたという。
市長は、このラベル部分の写真と共に「信じられない」「我々が毎日戦い続けている固定観念を見せつける文章だ」「このズボンを購入したことを後悔している」というコメントを付けて自身のFacebookに投稿した。すると、すぐに拡散され女性団体を中心に抗議行動が開始された。トスカーナ州全国民州女性大会(Conferenza Nazionale Donne Democratiche)代表ターニャ・ティンテッリ氏は、抗議書簡を送ったことを発表し「時代の流れに逆行した文章である」と強く批判した。
炎上が大きくなると、問題のアパレルメーカーは「完全に不適切だった」と非を認め謝罪している。さらに、「文章は、自ら洗濯物さえすることができない無能な男性を皮肉った意図だった。性差別的の意味で書いたわけではない」と苦し紛れの弁明をした。現在、店頭に並んでいた製品を全て回収し、ラベルの除去が行われているという。嘲笑的なギャグのつもりで書き入れた文句だったが、差別はセンシティブな問題であるため、読んだ側の受け止め方も様々であることを、もっとしっかり考えておくべきだったのではないだろうか。
今回は世界各地の性差別による炎上事例を紹介したが、全てに繋がるのは「選択肢」の問題である。あれもこれもすべてが性差別ではないのかと神経質に疑う必要はなく、「男女平等だからこうすべき」と決めつけるのもまた新たな固定観念を植え付けてしまう。ただ「性別に関係なく人間としてこういう選択肢もある」という様々な可能性を提示できるような世の中になってほしい。
とはいっても、既に固定観念に縛られている人の認識を変えるのは難しい。せめて次世代を担う子供たちには、性別で分けて「しなければいけない」という押しつけをしないですむように、少しずつ変化していく大人の姿を見せることが大事なのではないだろうか。