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孤独と脳の関係──想像を司る部分が発達、認知症リスクに影響か

2020年12月25日(金)15時45分
松丸さとみ

孤独を感じている人は、想像を司る脳の部分が発達していることがわかった...... Solovyova-iStock

<孤独は心身の健康に大きく影響することが、近年分かってきているが、認知症のリスクが高まることも分かっている......>

孤独は現実的な健康リスク

クリスマスから年末年始にかけて、孤独に苛まれる人が少なくないシーズンだが、特に新型コロナウイルスの影響で、人との交流や触れ合いがかなり制限される今年はなおさらだ。近年、孤独が心身の健康に影響を与えることが複数の研究で明らかになっており、認知症のリスクが高まることも分かっている。

そこでカナダのマギル大学の研究チームは、孤独だと感じている人たちと感じていない人たちの脳を比較し、その違いを検証した。孤独を感じている人はそうでない人と比べ、想像を司る脳の部分が発達し、その部分の灰白質も厚くなっていることが分かった。結果は、学術誌ネイチャー・コミュニケーションズに発表されている。

研究チームによると、「孤独」とは、自分が社会的に孤立していると自覚することや、自分が求める社会的なつながりのレベルと現実のレベルとの間に差異があることを指す。ひとりで過ごす時間の実際的な長さや社会的交流の頻度とは無関係で、自分がどう感じるか、ということだ。

孤独は心身の健康に大きく影響することが、近年分かってきている。1日15本の喫煙と同等の健康リスクがあり、肥満より危険だとする研究結果もある。また2012年の研究では、孤独を感じている高齢者は、認知力の低下や認知症にかかるリスクが高いことが示された。認知症を発症させるリスクは、孤独を感じていない人の1.64倍だった。

サイエンス・デイリーはマギル大学の研究について、孤独がどのような形で脳に表れるかを理解することで、認知症のような神経疾患の予防や治療法の開発へのカギとなる可能性があるとしている。

「孤独脳」、想像力が発達する一方で萎縮する部分も?

マギル大学のチームが行った今回の研究の大きな特徴は、英国の大規模な生物医学データベース「UKバイオバンク」を用いた点だ。過去の研究では、孤独な状態が脳に表れる「孤独脳」が存在することが示唆されてきたものの、サンプル数が少ないなど調べる上での制限があったという。

UKバイオバンクを使った今回の研究では、3万8701人分(男性47.5%、女性52.5%、40〜69歳で平均年齢54.9歳)の脳のMRIスキャンを活用。「頻繁に孤独を感じるか」との質問に回答した人たち(「はい」と答えた人は13.1%で、ヨーロッパの母集団に行われた他のコホート調査と一致)の脳のスキャンから、孤独を感じている人とそうでない人を比較し、孤独が人の脳にどのような形で表れるかを調べた。

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