「COP26にもっと女性を」、エマ・ワトソンさんら訴え
国連本部でUN Women 親善大使としてスピーチするエマ・ワトソン 2016年 REUTERS/Brendan McDermid
<2021年スコットランドで行われるCOP26に向けて、女優のエマ・ワトソンさんや歌手のエリー・ゴールディングさんなど女性400人以上が連名で「意思決定プロセスにもっと女性を参画させて」と訴えた...... >
COP26執行チームの男女比バランス欠如に懸念
英国のスコットランドで来年11月に行われる第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)に向けて、女性400人以上が連名で「意思決定プロセスにもっと女性を参画させて」と訴える書簡が公開された。COPに多様性と包括性をもたらすことを目指す活動団体SHE Changes Climateが取りまとめたもので、英国のボリス・ジョンソン首相や、COP26で議長を務めるアロク・シャーマCOP26担当相らに宛てられている。
書簡は差出人について、COP26の執行チームが「男女のバランスを欠いていることを非常に懸念する、気候の分野で名の知られた100人以上を含む、影響力のある女性たち」だと説明している。署名者には、COP21で特別代表だったローレンス・トゥビアナ氏やアイルランド初の女性大統領を務めたメアリー・ロビンソン氏の他、女優のエマ・ワトソンさんや歌手のエリー・ゴールディングさんなど幅広い分野の著名人が含まれる。
COP26の執行チームの男女構成は、現在公開されている公式ウェブサイトによると、シャーマCOP26議長を含むメンバー4人のうち、女性は下院議員のアン・マリー・トレベリアン氏の1人だけだ。
英フィナンシャル・タイムズ紙(FT)は、内閣内に設けられたCOP26ユニットと呼ばれるグループでは、女性が45%を占めているとの政府側の主張を紹介。しかしその多くは、補佐的な立場やコミュニケーションを担う立場であり、交渉を担当する役割ではないとFTは指摘している。COP26議長のシャーマ氏も、女性であるクレア・オニール氏から2月に突然交代となり就任したものだ。
「米バイデン人事と比べ英COP26は多様性を反映していない」
公開書簡は、国連が昨年発表した報告書を引用し、気候に関連した災害があった場合、男性よりも女性の方が被害を受けやすく、気候変動に対して女性の方が脆弱であることは明らかだと述べている。そのため、気候に関わる議論に適正な割合の女性が参加できないことを懸念しているのだ。
英公共放送BBCによると、世界で仕事を持つ女性の3分の1近くは農業に従事しており、気候変動で干ばつが厳しくなると、女性たちの生活が脅かされることになる。またそのため、農村部を中心に既存の男女不平等に拍車がかかるという。
かつて持続可能エネルギー担当の国連事務総長特別代表を務めたタフツ大学フレッチャースクールのレイチェル・カイト学長はFTに対し、米国のジョー・バイデン次期大統領が、閣僚やホワイトハウス高官など次期政権の人事で国民の男女比を反映したチーム作りをしている一方で、英国のCOP26執行チームは「現代の英国における多様性を反映していない」と述べた。