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物怖じせず意見を堂々と発言するフランス人の「学力の土台」は食卓にある

2020年08月04日(火)17時45分
船津徹

フランス人は平日は質素な食事で済ませることが多いですが、週末になると豪華な食事を楽しみます。前菜からデザートまでフルコースを作り、ワインを飲みながら時間をかけて家族や友だちと昼食を食べるのです。自宅に友人を招いたり、友人の家に招かれたり、お互いの家を行き来し合い、一緒に美味しい食事をとることに喜びと幸せを感じるのです。

もちろん子どもたちも大人と一緒に料理を食べます。フランスでは子どもも原則大人と同じ食事をとります。子ども用のメニューを用意するのでなく、大人と同じモノを自分の食べたい量だけ食べるのも食事のしつけの一部です。

子どもは時間をかけてコース料理を食べる中で、フォークやナイフの使い方などのマナー、季節の食材や飲み物についての知識(地産地消へのこだわりが強い)、食器や盛りつけ方法などについての美的感覚を身につけていきます。

食事を食べながら会話を楽しんでいると時間があっと言う間に過ぎ、昼食が終わったら夕方になっていることも珍しくないと言います。食を通して家族や友人との交流を深める中で「美食の国フランス人」としての食文化への誇りが形成されていくのです。

食事中の楽しい会話は子どもを賢くする

食事中の楽しい会話や何気ない問いかけは、子どもの考える力を育てます。地頭力の強い子どもは、多くの場合、家庭での普段の「会話」によって当意即妙の発想力、言語力を獲得していきます。

一方で食事中の会話が「宿題やった?」「学校で何を勉強した?」「誰と遊んだ?」「テストは何点だった?」という尋問中心になると、子どもは親の話に聞く耳を持たくなります。それどころか食事の時間そのものを嫌がるようにさえなってしまうので注意が必要です。

親との会話が楽しければ、子どもはリクエストされずとも自ら話題を提供するようになります。子どもが勉強や人間関係などの悩みを何でも親に相談できれば、ストレスを溜め込むことが少なくなります。また、勉強面でもわからないことを放っておくことがなくなり、学習の消化不良に陥らずに済むのです。

ベネッセ教育研究開発センターが行なった調査によると、家族そろって食事を楽しんでいる家庭の子どもほど家族関係や友人関係が良好なことが分かっています。アメリカのコロンビア大学が行なった調査では、週に5回以上家族で食事をとる家庭の子どもは、成績が良好で、問題行動が少ないことが分かっています。

食事中の楽しい会話は、子どもの思考を深め、知識を高め、好奇心を刺激し、表現力を豊かにしてくれます。この積み重ねが子どもの学力の土台となり、成績向上につながっていくわけです。

食事中の会話に、親の仕事の話、政治や経済の話、環境や社会問題など、学校の授業では聞くことのできないトピックが多いほど、子どもはたくさんの知識を吸収し、様々な事柄について「考える力」を伸ばしていくことができます。

【関連記事】子どもを肥満にさせる「欠食・孤食」と家庭間格差

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