物怖じせず意見を堂々と発言するフランス人の「学力の土台」は食卓にある
好き嫌いは「楽しさ」があれば解決する
子どもの食べ物の好き嫌いを直そうと躍起になっている親がいます。もちろん安全で栄養バランスのとれた食事を子どもに与えることは大切です。しかし「残しちゃダメ」「野菜を食べなさい!」「魚を食べなさい!」と無理に食べさせようとしていると、かえって子どもの偏食を長引かせることにつながります。
好き嫌いを直すには、まず食事中の雰囲気を改善することに目を向けてみてください。食事の見た目を楽しくし、楽しい会話を心がけるのです。「食事の時間=無理やり野菜を食べさせられる時間」ではなく「食事の時間=家族の楽しい時間」にしてください。
親が楽しい会話を心がけていると、子どもは楽しさにつられて、いつの間にか何でも食べるようになっていきます。反対に親が栄養面や食事のしつけにこだわりすぎると、子どもは食事の時間を楽しめず、食べることに対しての興味までもが薄れてしまうのです。「食事は楽しく!」これは日本人が見習いたいフランスの素晴らしい文化です。
また母親一人が食事の準備をするのでなく、子どもにも料理を手伝ってもらいましょう。自分で作った料理は格別に美味しい味がするものです。野菜を洗ったり、食材を切ったり、フライパンでいためたり、味付けをしたり、失敗するかもしれませんが、それも子どもにとって良い経験です。
子どもに手伝ってもらう時は「悪いけど、お願いできる?」「手伝ってもらえると助かるわ」と頼むことを忘れずに。そして手伝ってくれたら抱きしめて「助かったわ。ありがとう」と感謝を伝えてください。食育の基本は「食事を楽しむこと」です。ぜひ取り入れてみてください。
[執筆者]
船津徹
TLC for Kids代表。明治大学経営学部卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。2001年ハワイにてグローバル人材育成を行なう学習塾TLC for Kidsを開設。2015年カリフォルニア校、2017年上海校開設。これまでに4500名以上のバイリンガル育成に携わる。著書に『世界標準の子育て』(ダイヤモンド社)『世界で活躍する子の英語力の育て方』(大和書房)がある。
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