人気イラストレーター、ダンシングスネイルが提案する「完璧主義な自分を抜け出す方法」
完璧主義のきらいがある人には、つねに不完全さに目を向け、もっとよくならなくてはと考える傾向がある。自分に対しても、他人に対しても。誤解してはならないのは、そういう完璧主義自体が問題だったり悪いわけではないということ。不完全さを自覚してもっとよくなろうとすることのどこが問題なのか。ただ、私たちは「完璧であること」と「価値があること」を区別しなくてはいけない。完璧な人だけが認められて愛されると信じこんでしまうと、完璧でないうちは人間としての権利を口にする資格すらないと思ってしまう。一番こわいのは、完璧でない自分の価値を自分で低く見積もり、不当な扱いを受けたときに、自分はそうされても仕方がないと感じるようになってしまうこと。だから間違っても、自分が完璧でないことと自分の価値とを結びつけて考えるのはよそう。完璧でないことと人間として享受する権利とはなんの関係もないのだから。
これまでは、何か目標を持って前に進もうとするとき、内心、それを実現したときに人から認められたり関心を持たれることを期待している面があった。その気持ちはいけないものだったのだろうか。自尊感情が低い人間の行動だったのだろうか。ありのままの自分の価値を認めるには、もっとよくなろうという努力自体をしてはいけないのだろうか。そんなことはない。誰だって他人から認められたい、関心を持たれたいという気持ちを頑張るための動機にしていいし、それはまったく悪いことではない。けれど、自分の努力と成し遂げたものが自分の存在価値を決める絶対的な要素だと思いこむ罠にはまってはならない。そうなると、何かを達成しようと頑張るほど、かえって自信をなくす悪循環につながりかねない。
完璧主義的な性格を短期間で変えるのは難しい。すでに完璧主義の傾向があるのなら、「完璧じゃなくても、もっとよくならなくても、自分は充分に存在価値がある」という気持ちの上に立って完璧を目指すのがよいと思う。そして、楽な気持ちで今日もただ存在できますように。
※抜粋の第1回:無気力症だった韓国の人気イラストレーター「キラキラしたSNSを見ないで」はこちら
『怠けてるのではなく、充電中です。
――昨日も今日も無気力なあなたのための心の充電法』
ダンシングスネイル 著
生田美保 訳
CCCメディアハウス
(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)