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スポーツクラブ再開待ち望む「筋肉女子」 クロスフィットで鍛えビジネスにもメリット

2020年05月29日(金)12時10分
岩澤里美(スイス在住ジャーナリスト)

女性の筋肉美は数年前から人気に

3人のようなお手本の体型にはなるのは簡単ではなさそうだが、女性も筋肉を鍛えようという志向は強まっている。日本でも広まっているアメリカ発のクロスフィットトレーニングは、この筋肉美のトレンドに一役買っている。クロスフィットはファンクショナルトレーニングの1種だ。
ヨーロッパのフィットネスの人気ランキング2020年(回答者の約80%は22~44歳、15%は45~54歳)によると、第4位にファンクショナルトレーニングが入っている。

ドイツでは2011年に最初のクロスフィットのスタジオがオープンし、2016年の時点で230か所以上に増えた。クロスフィットのトレーナーの40%が女性だという(シュピーゲル誌)。

クロスフィット以外も含めたスタジオ全般に通う目的ついて、16~35歳のドイツ人女性約600人に聞いたところ、ダイエットよりも筋肉強化が目的という人がとても多く、実に70%が筋肉をつけることを目指していた。

イギリスでは、クロスフィットができる場所が500か所以上ある(2017年調べ)。独英両国は、ヨーロッパのフィットネス市場で最大シェア(会員数も収益も)をほこる。

男性優位の職場で有利に?

冒頭のウーマンズ・ヘルス誌では、女性が筋肉を強化する利点として以下の4つを挙げている。

(1) 筋肉があればエネルギー消費が増えて体が細くなる。
(2) 筋肉をつけると、セクシーな体のカーブができる。
(3) 筋肉をつけると、頭痛や背中の痛みなどの予防になる。
(4) 重いものを持ち上げられることが自信につながる。

筋肉を強化すると、仕事の面にもよい影響を与える可能性がある。先のシュピーゲル誌に、フライブルク教育大学のガブリエレ・ゾビヒ教授(スポーツ社会学とジェンダー研究)がコメントしている。

「仕事の世界では依然として男性優位がしばしばみられますが、成功志向の女性にとっては、強い体だということが周囲に伝われば物事はより簡単に運ぶでしょう」

そのためか、とくに高学歴の若い女性たちが力強い外見(体型)になりたがっているそうだ。

日本でも、筋肉で引き締まった体を目指す女性は増えていて、「筋肉女子」「腹筋女子」という言葉を聞く。社会でポジティブな評価を受けるようになったこの女性の筋肉美は、ある意味、女性解放の1つといえる。今後、筋肉美を追求する女性はさらに増えるのだろうか。


s-iwasawa01.jpg[執筆者]
岩澤里美
スイス在住ジャーナリスト。上智大学で修士号取得(教育学)後、教育・心理系雑誌の編集に携わる。イギリスの大学院博士課程留学を経て2001年よりチューリヒ(ドイツ語圏)へ。共同通信の通信員として従事したのち、フリーランスで執筆を開始。スイスを中心にヨーロッパ各地での取材も続けている。得意分野は社会現象、ユニークな新ビジネス、文化で、執筆多数。数々のニュース系サイトほか、JAL国際線ファーストクラス機内誌『AGORA』、季刊『環境ビジネス』など雑誌にも寄稿。東京都認定のNPO 法人「在外ジャーナリスト協会(Global Press)」監事として、世界に住む日本人フリーランスジャーナリスト・ライターを支援している。www.satomi-iwasawa.com

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