日本と雲泥の差。「神が守る」と言う人も現れはじめたヨーロッパの不安
病床が不足する可能性も
スイスでは、連日、新型コロナウイルスに関する特番が組まれている。3月18日夜の特番に出演した連邦内務省保健局のダニエル・コッホ感染症課長は、経過と見通しを次のように述べた。
「多数の若者たちがイタリアを訪れて十中八九感染し、スイスに帰ってきて他の人に感染させたと思われますが、その時点では、スイス内でのすべての感染ルートを発見することは不可能でした。そのため、政府は1歩ずつ、できることを精一杯してきました。
検査キットが不足しているのは、新型コロナウイルスがこれほどのスピードで世界に広まるとは考えられていなかったためです。(スイスの大手製薬会社)ロシュがそれをわかっていたら、もちろん膨大な検査キットを準備していたでしょう。いまは検査希望者が集中し過ぎて、生産が追いつかないのです。
感染が発見されたころは、スイスの医療体制では感染した全患者にベッドを与え、間違いなく対応できるはずだと考えてきました。ですが、流行が大流行になり、それが不可能になるかもしれないという点がたいへん心配です。イタリアのような状況になるのを防ぐには、スイス国民全員で真剣に取り組まなければいけません」
4月はイースター休暇が待っているが、多くの人が家で静かに過ごすだろうし、そう願いたい。早い時期に、鎮静化に向かってほしい。
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[執筆者]
岩澤里美
スイス在住ジャーナリスト。上智大学で修士号取得(教育学)後、教育・心理系雑誌の編集に携わる。イギリスの大学院博士課程留学を経て2001年よりチューリヒ(ドイツ語圏)へ。共同通信の通信員として従事したのち、フリーランスで執筆を開始。スイスを中心にヨーロッパ各地での取材も続けている。得意分野は社会現象、ユニークな新ビジネス、文化で、執筆多数。数々のニュース系サイトほか、JAL国際線ファーストクラス機内誌『AGORA』、季刊『環境ビジネス』など雑誌にも寄稿。東京都認定のNPO 法人「在外ジャーナリスト協会(Global Press)」理事として、世界に住む日本人フリーランスジャーナリスト・ライターを支援している。www.satomi-iwasawa.com
2020年3月24日号(3月17日発売)は「観光業の呪い」特集。世界的な新型コロナ禍で浮き彫りになった、過度なインバウンド依存が地元にもたらすリスクとは? ほかに地下鉄サリン25年のルポ(森達也)、新型コロナ各国情勢など。