日本と雲泥の差。「神が守る」と言う人も現れはじめたヨーロッパの不安
同国感染症法で定められた3段階「通常」「特別」「非常」の非常レベルになるのは随分先だと政府は述べていたのに、休校宣言から3日後に(初の感染者が確認されてから3週間で)、非常事態と判断された。3月17日から多くの商店が閉鎖し、どこもひっそりしている。ただし、いまのところ外出禁止ではない。
若者は気にしない
感染で重症になるリスクが高いのは、65歳以上の人や基礎疾患がある人だと盛んに言われているためだろう、とくに若者たちの多くは、新型コロナウイルスを他人事のように感じていたようだ。
学校で休校の通知を受けた息子によると、感染拡大のことをまったく知らなかったクラスメイトがいたという。何週も授業がなくなるから、どこかへ旅行しようと即座に話し出す男子たちもいたそうだ。また、休校になったと喜んで、家族とショッピングに出かけ、高級レストランで食事した様子をクラス内のSNSに投稿した女子もいた。(なお、学校からはすぐに連絡が届き、毎日、課題が出されることになった)
商店が閉鎖になる直前は、レストランやバーで50人以上の滞在を禁じる指示が出されていたが、繁華街に多くの若者が集まっている様子がニュースで流れていた。そして非常事態宣言が出されても、家にいてもつまらないからと外で友人たちと会う若者がいる。
「感染は、奇跡でおさまる」と言うカトリック司教
感染の拡大を気にしない人はほかにもいる。自分は健康だから(免疫力を上げるよう常に配慮しているから)大丈夫だと信じている人だ。方々で、そういう意見の人がいる。また、外に出るのが日課だから、家の中にじっとしていられないと話す80歳を越えた人たちの様子も報道されている。必要以上に恐れることはないだろうが、絶対に感染しないとは言い切れないのではないか。
また、プロテスタント系の宗教に夢中になっている遠い親戚(スイス人女性)は、「神が守ってくれているから、自分や自分の周囲は感染しない。もし感染しても大丈夫だ」と言っている。彼女は高齢者の訪問介護をしている。もし彼女が感染してクラスターを発生させてしまったらと想像すると怖いが、ご主人が諭そうとしても、聞く耳は持たないそうだ。
カトリック教の中にも、似たことを発言する人がいる。保守的な思想をもつことで知られるE補佐司教は、感染と戦うには衛生管理などは不要で信仰が大事だとし、「奇跡を期待しています。神のお力とご加護を信じています」とインターネットで発信しているそうだ。