『Lの世界』がカムバック! ジェニファー・ビールス インタビュー
”L” Stands for Love
――今の世の中に合わせて番組が変わった点は?
以前よりずっと多様な人々を巻き込んでいる。(心と体の性が一致しない)トランスジェンダーの俳優が演じるトランスジェンダーの登場人物が増えたのも、すごく重要。話題が性的少数者のコミュニティーにまで広がっていると思う。
――新シリーズではどんな試練がべットを待ち受ける?
きっと試練は多いはず。べットは女手一つで10代の娘を育てながら、ロサンゼルス市長選に立候補する。同じ失敗をたびたび繰り返しながら、激動の10年間を乗り越えてきた。新シリーズの冒頭で、べットはLGBTQのコミュニティーを助けようとしている。良き母親であろうとし、自分自身も葛藤を抱えている。
――前シリーズでも、キャリアと人間関係の両立は得意ではなかった。思春期の娘まで加われば、なおさら大変だろう。
そのとおり。大変な試練よ。べットは自分のことについて一切言い訳しないけれど、同時にすごく傷つきやすい。そういうところが私は大好き。だから10代の娘に手を焼いている状況は、見ていて本当に興味深いし、演じていて楽しかった。
――べットを再び演じるに当たって、自分の経験を基に役作りをしたか。
もちろん、周囲を見回して観察している。アメリカの文化がどう変化し、あらゆる点でどんなに分裂しているか。ジェンダーとセクシュアリティーにまつわる言葉であれ、気候危機についての考え方、人間と地球との関係についての考え方であれ、パラダイムを一変させなきゃ。
つまり今は歴史的瞬間で、竜巻の中心にいるようなもの。どこに着地するか、どういう人間になりたいか。べットはそれをよく自覚していて、それがロサンゼルス市長を目指す原動力になってる。
役作りについては、とにかく人間らしさを観察すること。私が俳優として何十年もやってきたことよ。
――この10年間に本も執筆したとか?
自分では書いていない。映画プロデューサーのトム・ジェイコブソンと共同で原案を作って出版社に売り、執筆者を2人探して、小説『ハイブ(The Hive)』が完成した。テレビシリーズ化の話があって、実現すればとても面白くなるかも。
――C40(世界大都市気候先導グループ)の親善大使に就任した経緯は?
パリで開かれたイべントに参加し、C40から多くのことを学んだ。C40はパリ協定を支持している世界中の都市の市長のネットワークで、会合を開いて情報を共有し、パリ協定が掲げる温室効果ガス削減目標をできるだけ早く達成することを目指している。パリのアンヌ・イダルゴ市長から親善大使就任の話を頂いて、やってみたいと思ったことの1つが、若手活動家を対象にした気候危機についての啓蒙活動に協力することだった。
――(スウェーデンの高校生環境保護活動家)グレタ・トゥーンべリのような若い世代が気候変動への意識を向上させている点については?
すごく勇気づけられる。そういう若者を中心に道徳的な議論が行われているので、彼らは意思決定に参加するに値すると私は思っている。ゆくゆくはそうなってほしい。単に道徳的基準としてだけでなく、意思決定プロセスに実際に加わらせるべきだ。
それは彼らの力だけでは無理。若い世代の活力と意志に頼るだけでは駄目だ。手遅れにならないうちに状況を一変させるには、総力を挙げて取り組む必要がある。都市や企業や私たち全員が何かの形で参加しなくては。常に完璧でなくてもいいけれど、自分の行動に責任を持つようにする。
物事をどう変えるか、どう取り組むか、職場で話し合わなくちゃ。
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