最新記事

社会

「結婚を1人の男と女の間に限定したところで、異性愛性が真に保証されるわけでは決してない」

Not as Straight as We Thought

2019年12月24日(火)18時23分
ニューズウィーク日本版編集部

妻の秘密を守ることで婚姻関係は守られた UNIVERSITY OF PENNSYLVANIA PRESS

<レズビアンの戦後史から見える、アメリカの「理想の夫婦像」とその裏の姿>

テキサス大学のローレン・ジェイ・ガターマン助教の新著『彼女の隣人の妻』のテーマは、第二次大戦後の既婚女性の同性愛的欲望の歴史だ。大戦の終結から1970年代にかけてのレズビアンの活動家たちの手紙や当時、同性への恋を自覚した女性たちへの聞き取り調査から300件の事例を集めた。ガターマンにスレート誌のレべッカ・オニオンが話を聞いた。


──まず歴史的な流れを確認したい。あなたは本の中で、同性への欲望を抱えている既婚女性にとって、70年代よりも50年代のほうが生きやすい時代だったのではと書いているが、これは意外だった。

理由はいくつかある。50年代には女は結婚するのが当然という考えが非常に強かった。これは文化的な思想であるとともに、経済的な要請でもあった。特に、子供が欲しいと思う女性にとっては、結婚せずに自分と子供の生活を支えるのは非常に難しかった。また、離婚は世間体がとても悪く、結婚生活を継続させたいという欲求や動機は妻も夫も同じように高かった。

【参考記事】同性愛「矯正」の恐怖を真正面から見据えた『ある少年の告白』

それに結婚に対する意識が40年代後半〜60年代初めと、70年代とでは大きく異なった。だから戦後期の結婚問題の専門家は女性たちに対し、自分の感情的な問題は心の内に秘め、夫には話さないようアドバイスしていた。

この研究で分かったのは、多くの夫があえて見て見ぬふりをしていたということだ。 妻が他の女性と関係を持った証拠があっても、夫はそれを一過性のものだろうと考えていたケースも複数あった。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

プーチン大統領、復活祭の一時停戦を宣言 ウクライナ

ワールド

イスラエル、イラン核施設への限定的攻撃をなお検討=

ワールド

米最高裁、ベネズエラ移民の強制送還に一時停止を命令

ビジネス

アングル:保護政策で生産力と競争力低下、ブラジル自
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    「どちらが王妃?」...カミラ王妃の妹が「そっくり過…

  • 2

    アメリカ日本食ブームの立役者、ロッキー青木の財産…

  • 3

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 4

    「ハイヒールを履いた独裁者」メーガン妃による新た…

  • 5

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 1

    アメリカ日本食ブームの立役者、ロッキー青木の財産…

  • 2

    「どちらが王妃?」...カミラ王妃の妹が「そっくり過…

  • 3

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 4

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 5

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 1

    アメリカ日本食ブームの立役者、ロッキー青木の財産…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    「どちらが王妃?」...カミラ王妃の妹が「そっくり過…

  • 4

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 5

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:トランプショック

特集:トランプショック

2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?