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フランスで同時期に同地域で、腕や手のない赤ちゃんが生まれた謎

2019年07月31日(水)17時10分
西川彩奈(フランス在住ジャーナリスト)

また、これらの仮定を裏付けるかのように、問題となったエン県では尻尾や肋骨などに先天異常のある子牛が生まれる症例も発生しているという。

ユーロスタットの報告書によると、2016年度のフランスの農薬消費は欧州で2番目に多い。また、フランスで消費されるオーガニックではない71%の果物と、43%の野菜に残留農薬が含まれているという調査結果も、国民の不安を煽っている。

REMERAの代表で、疫学者のエマニュエル・アマール氏は、本誌の取材に、フランスの農薬使用の状況と人体への影響についてこう語る。

「これらの四肢に先天性異常がある子供が生まれた地域で、農薬が使用されていたかという統計は、まだ現段階ではとれていない。ただ、フランス国内での農薬の使用方法には問題がある。農家による大量の農薬の使用、コスト削減の為に不法の農薬の使用や、自家製の農薬を使用するケースもあるからだ。これらは、人々の健康に影響をもたらす」

また、農薬の中でも、除草剤「ラウンドアップ」に含まれるグリホサート(専門化らが発がん性などの健康被害を指摘している成分)が先天性横軸形成障害に影響したのでは、という国民の声も上がっている。

アメリカの国立生物工学情報センターの報告によるとグリホサートが、カエルの胚に催奇形性の影響を与えたという実験結果も出ている。

環境による子供の健康への影響に詳しいレオナルド・トラサンデ氏(ニューヨーク大学医学大学教授)は、本誌の取材にこう説明した。「グリホサートが新生児の先天性四肢障害のリスクを上昇させるかという研究結果は現在の段階では、まだ存在していない。一方で動物の性ホルモン、発がん性などへの影響は発見されている」

フランスでは、このグリホサートを含む除草剤「ラウンドアップ」と、その関連商品の販売が今年1月に禁止された。しかし、現時点では同商品は"使用禁止にはなっていない"。マクロン大統領は早い段階でグリホサートの使用を全面禁止にする方針を掲げている。

これらの点を踏まえ、専門家で構成された調査委員会は、農薬がもたらす先天性横軸形成障害への影響の調査の実行を提案している。


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