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テイラー・スウィフト、またの名を「労働者の守護神」という!?

The Radicalism of Taylor Swift

2019年04月05日(金)16時00分
デービッド・ターナー

自分の力を同業者のために使うスウィフトの姿勢は他のスターには見られない MARK METCALFE/GETTY IMAGES

<レコード会社の移籍交渉で他の所属アーティストにも有利な条件を引き出した大スターの「信念」とは>

米人気歌手のテイラー・スウィフトは11 月、ユニバーサル・ミュージック・グループ(UMG)への移籍契約にサインした。今後はUMG傘下のリバプリック・レコーズからアルバムを出すことになる。リパブリックはアリアナ・グランデら大物ポップスターが所属するレーベルだ。

大きな話題となったのが、契約に他のアーティストのための条項を盛り込んだことだ。今後UMGが主要株主の1社となっている音楽ストリーミング配信大手スポティファイの株を売却する際には、売却益のかなりの部分を所属アーティストに分配することになった。

スウィフトは世界有数のポップスターであり、移籍交渉では非常に強い立場に立っていた。今回はその立場を利用し、他のアーティストたちにとって有利な条件を勝ち取ったわけだ。革新系の論客マット・ブルーニグはツイッターで(たぶん軽いジョークのつもりだろうが)スウィフトのことを「労働運動の過激な活動家」と呼んだが、この表現は的を射ている。スウィフトは以前から、音楽産業で働く人々の権利を資本家の横暴から守るために声を上げてきた。

【参考記事】政治的影響力を発揮したテイラー・スウィフトに保守派が反撃

UMGを含む大手レーベルや、独立系レーベルの団体であるマーリン・ネットワークは、スポティファイの営業開始(08年)に際して同社の株式の一部を取得。今年4月のスポティファイ上場後は、株式を売却する動きが相次いでいた。

ただし、所属アーティストへの配分については各社で対応が分かれている。ローリングストーン誌によれば、ワーナー・ミュージック・グループは印税の前払い分を差し引いた額を各アーティストに支払い、売却益のかなりの部分を手元に残したという。一方、ソニー・ミュージックエンタテインメントは前払い印税との相殺は行わなかった。スウィフトはUMGに対し、ソニーと同様の対応を求め、UMGはそれを受け入れた。

待遇改善への熱い思い

スウィフトが同業者たちの代弁者として行動するのは、これが初めてではない。14年にはウォール・ストリート・ジャーナル紙に、スポティファイがアーティストに支払う印税は非常に低く、同社のビジネスモデルは音楽を不当に安売りするものだとする文章を寄稿。実際にスポティファイから自分の作品を引き揚げた(17年に再開)。

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