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フランス

パリに開店した3ツ星シェフの「無料レストラン」にボランティアとして潜入したら...

2019年02月06日(水)17時15分
西川彩奈(フランス在住ジャーナリスト)

2016年の調査ではフランスの人口の14%にあたる880万人が貧困層と報告された(写真はイメージ) Zinkevych-iStock

<パリの教会の地階に、「世界一のシェフ」が開いたレストランが話題になっている。極貧層の「お腹」と「自尊心」を満たすという。一体どんなレストランなのか――、筆者がサービス係のボランティアとして潜入してみた>

1月下旬、雪が降る日にパリ・オペラ座の前で小銭を求めるフランス人男性がいた。セカセカと通り過ぎる人々に遠慮がちに話しかけるギョーム(45)は、つい最近この生活を送るようになったという。以前は工場で勤務をしていたが腰を壊して以来、現在は政府から約550ユーロ(約6万8700円)の生活扶助を受けるのと、こうして道端で小銭を集めて生計を立てている。

ギョームはこう小声で語った。「物価が上がり、もうパリには住めない。郊外で1部屋のボロアパートをシェアしている」

ウェブメディア「ザ・ローカル」の報道によると、2016年、フランスの人口の14%(880万人)が貧困層(毎月1026ユーロ(約12万8000円)の収入)に属しているという(国立の調査機関Inseeの報告)。ユーロ圏の平均(17.4%)から見ると少ないが、貧困対策はフランスでも大きな課題だ。

また、2001年からの12年間で、パリでは成人の路上生活者が84%増加したという。こういった状況に対し、「明日は我が身」と感じるフランス人も多いようだ。2009年の調査では75%のフランス人が路上生活者に共感を抱いており、56%が将来自分自身が路上生活に陥ることが想像ができると答えている。

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高級老舗デパート、プランタンの前で小銭を求める東欧出身の男性(Photo :西川彩奈)

わずかな年金を受け取り、市からの補助を受ける施設で暮らしているマリーヌ(68)も例外ではない。彼女は「今のような生活を送るとは、まったく考えてもいなかった」とため息をつく。

現役時代にはフリーランスジャーナリストとして仏有力紙へ経済記事を執筆し、著名人のインタビューなどを担当したという。「昔はプレスとして様々な貴重な体験ができた。今では持病があるが薬を買うこともできない。夕食はいつもNPO(非営利団体)の世話になっている」

貧困の状態に陥った人たちにとって、「自尊心」を保つことは難しい。しかし、再び社会と交流ができるよう、「尊厳」を取り戻していくことが大切だ。

そんななか、パリに昨年開店した「無料」のレストラン「レフェットリオ(Refettorio)は、貧困層に「美味しい食事」と「威厳」を提供してくれると評判だ。一体どんなレストランなのか――。同レストランに、サービス係のボランティアとして参加した。

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