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私たちがボトックスを使う理由は美容だけにあらず 半数以上が......

2018年12月07日(金)17時05分
カシュミラ・ガンダー

幸福感や自信など心理面での好影響を期待して注射を受ける人も ROSSHELEN-iStock

<ボツリヌス菌を使ったしわ取り製剤がもたらす意外な効果>

しわを伸ばすボトックス注射を受ける理由は虚栄心......だけではない。新たな研究によって、より複雑な現実が見えてきた。

この数年、アメリカではボトックス人気が急上昇している。全米美容整形学会の最新データによれば、ボトックス注射の施術件数は12~17年で30%増加。17年は前年比7.6%増で、17年の合計施術件数は150万回を超える。

体へのリスクがないわけではないことを考えると、驚くべき数字だ。

ボトックス注射はボツリヌス毒素製剤を注入する処置で、筋肉を一時的に収縮しにくくする。そのため、まぶたが垂れる、よだれが出る、ドライアイや涙目になるといった副作用の可能性がある。体内のほかの部位に製剤が広がった場合には筋力が低下したり、視覚障害や呼吸困難、尿失禁、発話困難を引き起こすことにもなりかねない。

【参考記事】しわの数と深さが示す体内の危険な変化

それでも大勢の人がボトックス注射を受ける理由を解き明かすべく、ノースウェスタン大学の研究チームが調査を実施した。対象者511人のうち86%強が女性で、56%が45歳以上。4分の3は白人で、ほぼ全員が大卒者だった。

調査参加者の大半は、ボトックス注射を受けるのは他人ではなく自分のためだと回答。より魅力的になりたいという動機のほか、幸福感や自信の強化といった心理面での好影響のためという人が70%近くに上った。自分へのご褒美や記念として処置を受ける人の割合は61%前後で、職業上の理由を挙げた人は59%弱だった。

さらに参加者の53%は、健康保護目的でボトックス注射を受けていた。注入されるボツリヌス毒素製剤は、首が傾いたりねじれたりする不随意運動を起こす痙性斜頸(けいせいしゃけい)、弱視、慢性片頭痛や膀胱機能障害、まぶたの痙攣の治療にも利用されている。

ノースウェスタン大学のチームは米国医師会報(JAMA)の皮膚科専門誌で発表した研究で、ボトックス注射は「外見的な魅力を高めたいという欲求に加えて、感情的・心理的・実用的動機が主因」になっていると結論。年齢などが選択に与える影響を探るため、さらなる研究が必要だと指摘している。

しわを取るのは若さが欲しいから、とは限らないらしい。

【参考記事】整形で「デザイナー・ヴァギナ」を求める女性が急増
【参考記事】パーフェクトな容姿に「変身」したイバンカ その品位はどこに?

[2018年9月25日号掲載]

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