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「子供に何も買ってやれない」社会の底辺で生きる人々の叫び──反マクロン・デモ、怒りの真相

2018年12月04日(火)18時10分
西川彩奈(フランス在住ジャーナリスト)

デモ参加者の心境。「給与振り込み5日目で残金ゼロ」

デモ参加者の多くが、地方からこの日のためにパリに訪れていた。年金について抗議をする高齢者、燃油税値上げに不満を漏らす人、反マクロンの極右や極左など様々な人が参加していたが、話を聞いた人たちは口を揃えて「一生懸命働いて税金を納めているのに、月の終わりに苦しむのはうんざりだ」と憤った。

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ナディン(左)と友人のファビアン(右)(Photo: Ayana Nishikawa)

パリ・オペラ座前で杖をついて佇んでいたナディン(70)は、「一般社会貢献税(CSG)の税率引き上げにより、年金受給額が減った。このままだと、孫にお小遣いすらあげられない」と、不満をこぼした。

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ジュリアン(左)とジェレミー(右)(Photo: Ayana Nishikawa)

ルーブル美術館周辺で、北仏ノルマンディーの旗を掲げていたジェレミー(34)とジュリアン(33)。「政府から無視されているように感じる」と憤るジェレミーは、こう続けた。「母は600ユーロの年金から税金など支払った後、手元には200ユーロしか残らない。マクロンは、田舎に住む国民の生活も考慮するべきだ」

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クリストフ(Photo: Ayana Nishikawa)

北仏ピカルディ―地域圏から参加したクリストフ(59)は溌剌とした様子で、「一番腹が立っているのは、マクロンの傲慢な態度だ。外国のことばかりで、自国のフランス人を蔑ろにしている。購買力が下がって苦しんでいる国民の声を『聞いているフリ』をするのは、許せない」

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ファニー(左)とジゼル(右)(Photo: Ayana Nishikawa)

高級ブティックの前でビラを配っていたファニー(68)とジゼル(46)は、「家」がなく、市から補助を受けた施設に暮らしているという。

「定年退職するまで38年間、きっちりと税金を納めてきた。それなのに今は毎月の生活費は雀の涙ほど。毎日同じサンドイッチ(3.5ユーロ)を食べて、同じ服を着ている。健康に良い野菜や魚を買って食べたいのにお金がない。レストランでの食事や、服の買い物なんて10年近くしていない。年金は少なくなる一方で、税金だけどんどん上がっていく」

一方、同様に市から補助された施設で暮らすジゼルは「兄は、路上生活を送っている。マクロン政権は富裕税(ISF)を廃止するなどお金持ちには優しいけど、社会の底辺で暮らしている人間の声も聞くべきだ」と語った。

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