産休・育休はしっかり取るが吉!? 早期復帰の方が仕事のチャンスが減るという研究結果
しかし、実際に復帰したところで、ドイツでは欧米諸国の中で、女性の給料はいまも男性に比べて21%も低い。その理由は、前述したとおり、管理職が少なく、パートタイムが多いからだ。独ツァイト紙によれば、2017年ドイツ男性の時給は税込で21ユーロ。女性は16.59ユーロ。同じ資格を持ち同等の仕事についている場合でも、女性の給料は6%少ないという。
興味深いのが、旧東ドイツと西ドイツの違いで、西ドイツだと男女の稼ぎの差は22%だが、旧東ドイツは7%と少なくなる。女性の社会進出が進んでいた東ドイツ時代の良い名残だ。職場復帰後のパートタイムに対してのいじめなども報告されているという。
ベルリンで保育園が完全無料化に
ベルリンでは今季から保育園が無料化された。しかし、南ドイツ新聞によれば、このニュースに喜んではいない親もいるようだ。「1歳から確実に保育園に行かせられるんだったら、お金を払った方がよっぽどいい」というのだ。
現在、ベルリンでは3000人分近い保育園の受け入れが足りていないという。妊娠した瞬間に保育園探しを始めろと言われるあたり、日本の状況とあまり変わらないようだ。今までは稼ぎに応じた額が請求されるので、ギリギリで生活している人たちはあまりお金を払わなくても済んだ。(給料額が最高の家族でも、保育園の額は全日で月に〜405ユーロ。)
しかし逆に無料になったことで、保育園に入れられなければ、親が職場に復帰できなくなり、もともとお金がない人は困窮してしまう。ベルリンでは特に保育士の数が不足しているため、演劇教育やスポーツ教育などといった分野からも保育士になってくれるように呼びかけている。
女性は、出産後早期復帰したくてもなかなかできないのに、早く復帰できたらできたで、今後の仕事のチャンスが減るとあっては、本当にたまらない。
ドイツのワーキングマザー率は全体の75%弱とEU水準の68.5%より高い。1年以上育児休暇をとった後はスムーズに保育園が見つかり、フルタイムで職場復帰できるような、そしてしっかり同等に稼げるような、働く母たちをしっかりサポートするシステムが早く整うことを祈るばかりだ。