エミー賞の大注目作『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』が現実社会で抗議のシンボルに
女優もツイート!アイルランド、アルゼンチン、英国でも
米国人女優アリッサ・ミラノも8月19日、カバノー氏の最高裁判事指名に抗議するツイートを投稿。写真のミラノは、侍女のコスチュームを着用し「ネバー・カバノー、ネバー・ギレアド(注:ドラマに登場する架空の国家)」と書かれたボードを手に持っていた。
TUNE IN NOTICE: My bad. My talk with @AriMelber on @TheBeatWithAri will air at 6:45pm EST/3:45pm PST. We talk about the Kavanaugh hearing shitshow. pic.twitter.com/aHZztusS7r
— Alyssa Milano (@Alyssa_Milano) 2018年9月5日
写真に添えられていたハッシュタグは、#RiseUpForRoe(ローのために立ち上がれ) #WeAreNotProperty(私たちは国の所有物じゃない) #StopKavanaugh(カバノー就任を阻止しろ)。ローとは、女性の中絶権を争った歴史的裁判"ロー対ウェイド事件"(1973年)の原告女性の仮名だ。この裁判では、女性の人口妊娠中絶を規制する国内法の大部分が違憲と判断された。
侍女たちの静かな抗議デモは、ドラマ製作国である米国を超えて、これまでにも世界中で展開されてきた。
8月3日の英ガーディアン紙によると、これまでにも英国、アイルランド、アルゼンチンなどの国々で真紅のローブを着た女性たちが集結。米国内では昨年夏から各地でこの集結が起こったが、複数の団体が協力した企画だそうだ。中絶権を始めとする女性の権利の抑圧に対し、いずれも無言の抗議を行ってきた。
普通の抗議デモでは、大声で主張を叫んだり、暴徒と化して警官と衝突する光景がよく見られる。しかし、声をあげることを禁止された作中の侍女に倣って、このデモ隊は不気味なほど静かだ。赤いローブが意味するメッセージについては今や理解している人が多いが、暴れている訳ではないので制止することはできないという訳だ。
原作者のアトウッドも、同紙の取材に対し「(体を露出するタイプの抗議デモと違って)彼女たちは、わいせつな服装をしているという理由で責められることはありません。なぜなら、体がすっぽり覆われている服装だから。しかし、抗議運動が開催されたのがアイルランドであれ、アルゼンチンであれアリゾナであれ、女性グループを見た誰もが、個々の抗議運動の背景にある意味を理解しているのです」と述べていた。
たとえば正視に耐えないような問題も、万人に伝わりやすくするのもエンタメの力なのかもしれない。