エミー賞の大注目作『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』が現実社会で抗議のシンボルに
アルゼンチンのブエノスアイレスでは8月5日、中絶の合法化を支持するデモにこのドラマを象徴する真紅のローブの女性たちが参加 Marcos Brindicci-REUTERS
<女性の権利を訴える抗議運動で赤いローブを着用することが今世界でトレンドとなっているようだ。そのメッセージは話題のディストピアドラマから>
トランプ米大統領が保守派のブレット・カバノー氏を米最高裁判事に指名し、米国では再び議論が起こっている。危惧されていることのひとつが、女性の中絶権が認められにくくなることだ。
指名公聴会初日、ハート上院ビルには、真紅のローブに真っ白な帽子のコスチュームに身を包んだ女性たちが抗議のために集結。この様子は、米CNNのほか世界のメディアが報じた。女性たちの正体は、リベラル支援団体「Demand Justice」のメンバー。
Under his eye. pic.twitter.com/ZN5TCOgmjy
— #StopKavanaugh (@WeDemandJustice) 2018年9月4日
抗議といっても、彼女たちは騒ぐことなく、静かに公聴会を見守っていただけだ。しかし、この色鮮やかなビジュアルこそが、言葉より何より雄弁なメッセージを語っていた。
エミー賞15部門ノミネート! 話題のドラマが現実に飛び出した
このコスチュームは、昨年度エミー賞5部門受賞、2018年ゴールデン・グローブ賞2部門受賞のHuluオリジナルドラマ『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』の中で侍女たちが着用していることで知られている。同ドラマのシンボルとも言える存在だ。
9月17日に授賞式が開催予定の第70回エミー賞でも、15部門にノミネート。フェミニズム的観点からも高評価を得ている。日本でも、シーズン2の配信がHuluでスタートしたばかりだ。
カナダ人作家マーガレット・アトウッドが1985年に発表した同名小説が原作の本作は、架空の国家「ギレアド共和国」によって「国民を生産するためだけの道具」として捕らわれた侍女が主人公だ。女性に自身の肉体についての決定権がなく、国家から「産むための機械」として徴発されるディストピアを描いている。
考えるのも恐ろしいストーリーだが、そこには今も私たちの目の前に立ちはだかる問題も含まれる。それが色鮮やかで美しいダークメルヘンにデフォルメされているのがこのドラマだ。
この「伝わりやすさ」「わかりやすさ」を活用して、女性の権利を訴える抗議運動で赤いローブを着用するのが今世界中でトレンドとなっているようだ。