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デンマーク発の食リサイクル事業が好調!  廃棄食品を減らす北欧流の新展開とは

2018年08月29日(水)18時00分
冨田千恵子(デンマーク在住ライター)

デンマーク、ヨアキム王子の妻、マリー妃(右)、トゥー・グッド・トゥー・ゴー代表メッテ・リュッケ(左)Photo:Kristian Juul Petersen

<食材廃棄の減少になんとか貢献したいとの思いでデンマークの若者たちが始めたアプリビジネスが急速に成長。コペンハーゲン市内に今夏アンテナショップをオープンした>

8月8日、北欧デンマークの首都、コペンハーゲンの住宅地の一角に小さな店がオープンした。当日はデンマーク王室のマリー妃が招待され、最初の顧客となったことをデンマークの放送局TV2のニュース番組「ローリー」 が伝えた。

とはいっても、店名の「トゥー・グッド・トゥー・ゴー(Too Good To Go)」を聞いてピンとくる視聴者は限られていたかもしれない。国内のレストランやスーパーマーケット、食品店、約5000軒と消費者をアプリで結び、賞味期限ぎりぎりの廃棄食品を安価で提供するパイオニア企業の初の店舗だったからだ。

きっかけは若者5人のアイデアから

「スタートは2016年。友人同士の20代の若者5人が久しぶりに外食した際、閉店間際のレストランで偶然、手つかずの料理が大量に処分されていることを目の当たりにしました。消費税25%のデンマークでは、外食は若い世代には贅沢なことです。ショックを受けた彼らは、廃棄食品をなんとかしたいと思ったのです」と、広報担当のニコリーネ・ラスムセンは話す。

そんな若者たちのアイデアを実現化し、大きくしていったのは、彼らに賛同した女性起業家メッテ・リュッケ、同企業の代表取締役だ。「国連によると、全世界の食糧生産量の40%が廃棄処分されているそうです。その状況をなんとかしたいと、私たちは戦いを挑んでいるのです」と語る。

toogoodtogo-founder-720-Kristian Juul Petersen.jpgショップで創業メンバーたちと語り合うマリー妃(右) Photo:Kristian Juul Petersen

消費者の意識改革で廃棄食品を25%減少

他の先進国同様、デンマークでも廃棄食品は問題になっている。英BBCによると、2014年のデンマーク政府の調査では、平均的家庭1軒あたりの1年間の廃棄食品は約105キログラム、金額にして3000デンマーククローネ(約5万2000円)で、およそ1カ月の食費に値することがわかった。

デンマーク環境・食品省によると、消費者の意識改革が進んだことと、小売店も小分け商品やサイズを小さくして価格を下げるなどで対応し、廃棄食品量は過去5年間で25%の減少につながったという。トゥー・グッド・トゥー・ゴーも、それに貢献しているといえよう。

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