最新記事

ビートルズ

ストロベリー・フィールズよ永遠に──あのビートルズ聖地が復活へ

2018年08月07日(火)17時30分
松丸さとみ

聖地巡礼に訪れる人があとを絶たない The Salvation Army UK with the Republic of Ireland-YouTubeより

<ビートルズに歌われた実在の場所が来年夏から研修施設及び観光スポットとして一般開放されることになった>

ザ・ビートルズのファンでなくても、『ストロベリー・フィールズ・フォーエバー』という曲は聞いたことがあるのではないだろうか。ビートルズの出身地英国のリバプールに実在する場所を歌った、1967年にリリースされた曲だ。その中で歌われたストロベリー・フィールドが、学習障害を持った若者の研修施設として、そして観光スポットとして、来年夏から一般に開放されることになった。関係者以外の人がストロベリー・フィールドに足を踏み入れられるのは、ビートルズの曲が生まれる前を含めても初めてとなる。

ジョンの子供時代の思い出がつまった場所

ストロベリー・フィールドはかつて、キリスト教系の慈善事業団体「救世軍」が運営する孤児院だった(なお、ビートルズの曲は「Fields」と複数形になっているが、実際の孤児院の名前は「Field」と単数形)。一般には開放されていなかったのだが、ジョン・レノンは幼いころ、壁を乗り越えて敷地に入り、ここの子供たちと遊んだり、救世軍のバンドを聞いたりしていたらしい。ジョンはかつて、ストロベリー・フィールドから目と鼻の先にある「ミミおばさん」の家に住んでいた。

その後、孤児院の正門の移動に伴い「ストロベリー・フィールド」と書かれた門と赤い鉄製のゲートは使われなくなり、固く閉ざされたままになった。さらに2005年には孤児院が閉鎖された。しかしビートルズの「聖地巡礼」として世界中から訪れる人があとを絶たなかったため、正門と赤い鉄製ゲートはそのまま残されているという(ただしゲートは2011年以降、保護のためレプリカに変えられている)。

「ジョンも喜んだと思う」

そのストロベリー・フィールドがこのほど、学習障害を持つ若者のための研修施設として生まれ変わることになったのだ。救世軍のロジャー・バット少佐はBBCに対し、「ここはジョンのお気に入りの場所でした。彼自身が自分の将来を描いた場所だったんです」と述べた。また、「軽度から中程度の障害を持つ若者が自分の人生で何かポジティブなことをできるような、夢を見られるような場所にしたい」と、生まれ変わったあとのストロベリー・フィールドについて語っている。救世軍はこの施設で、障害を持つ若者のトレーニングや教育を行うだけでなく、そうした若者を雇用していく意向だという。

敷地内にはビジターセンターも作られ、ジョン・レノンとストロベリー・フィールドの関係性などにまつわるものが展示されるほか、庭園やカフェなども作られる予定だ。

7月31日に行われた起工式には、ビートルズの音楽プロデューサーとして活躍した故ジョージ・マーティン氏の妻ジュディ・マーティンさんや、ジョン・レノンの妹であるジュリア・ベアードさんも出席。マーティンさんは、ストロベリー・フィールドの再開発について、「ジョンも喜んだと思うし、私の夫のジョージは間違いなく喜んだと思います」と話している。また、「ここを訪れる人は、ジョンが子供の頃にしたようにこの場所を探索できるようになります」と述べ、展示物と合わせて、この場所がこれまで以上にビートルズ・ファンにとって特別な場所になりそうな可能性をうかがわせた。

なお、英ミラー紙によると施設の建築費用として救世軍はあと100万ポンド(約1億5000万円)調達する必要があり、特設サイトを設けて寄付を求めているという。

The Salvation Army UK with the Republic of Ireland-YouTubeより

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

韓国尹大統領に逮捕状発付、現職初 支持者らが裁判所

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    「男性に守られるだけのヒロイン像」は絶滅?...韓ド…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…

  • 4

    韓国のキム・ジヨンに共感する、日本の佐藤裕子たち..…

  • 5

    アメリカ日本食ブームの立役者、ロッキー青木の財産…

  • 1

    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…

  • 2

    タンポンに有害物質が含まれている...鉛やヒ素を研究…

  • 3

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 4

    「ショート丈」流行ファッションが腰痛の原因に...医…

  • 5

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 1

    ヨルダン皇太子一家の「グリーティングカード流出」…

  • 2

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 3

    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…

  • 4

    キャサリン妃の「結婚前からの大変身」が話題に...「…

  • 5

    韓国Z世代の人気ラッパー、イ・ヨンジが語った「Small …

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:トランプ新政権ガイド

特集:トランプ新政権ガイド

2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?