最新記事

フェイクニュース

ヘレン・ケラーの存在まで疑うネット上の陰謀論

Too Saintly to Be “Real”

2021年4月2日(金)14時30分
レベッカ・オニオン

そういう事情を踏まえるなら、いまSNSで彼女への誹謗中傷が拡散している理由も分からぬではない。生身の人間が偶像化され、特定の人たちのヒーローに祭り上げられたら、必ずどこかで反発が出る。「今のアメリカでは、どんなヒーローも無傷ではいられない」とカドリックは言う。「私たちはあれこれと調べまくり、そういう人たちが自分の思っていた、あるいは教わってきたイメージとは違うことに気付く。ヘレン・ケラーだって、そうした詮索から逃れられない」

「ケラーは常に道徳的な模範として語られてきた」とニールセンは言う。「でも公民権や教育の歴史に関する議論の中に彼女の名前が出てくることはない。私たちがケラーを、特別支援教育法や障害者の市民権に関する話の中で取り上げることもない」。しかし彼女は「その全てに関与してきた」のだ。

そのことこそ、私たちはしっかり記憶にとどめ、次代の人たちに伝えていかねばならない。

©2021 The Slate Group

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米の対中関税で世界的貿易戦争なら豪州は「敗者」=中

ビジネス

パナマ運河重要港湾の運営権、香港企業がブラックロッ

ビジネス

関税が物価押し上げの可能性、金融政策は「良好」=N

ビジネス

米国株式市場=続落、ナスダック調整入り迫る 貿易摩
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
2025年3月11日号(3/ 4発売)

ジャンルと時空を超えて世界を熱狂させる新時代ピアニストの「軌跡」を追う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    アメリカで牛肉さらに値上がりか...原因はトランプ政権の対カナダ25%関税
  • 3
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与える方法とは?
  • 4
    「浅い」主張ばかり...伊藤詩織の映画『Black Box Di…
  • 5
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 6
    バンス副大統領の『ヒルビリー・エレジー』が禁書に…
  • 7
    「70年代の日本」を彷彿...発展を謳歌する「これから…
  • 8
    米大統領執務室での「公開口論」で、ゼレンスキーは…
  • 9
    米ウクライナ首脳会談「決裂」...米国内の反応 「ト…
  • 10
    ウクライナのために欧州が連帯呼びかける...「当事者…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天才技術者たちの身元を暴露する「Doxxing」が始まった
  • 4
    ニンジンが糖尿病の「予防と治療」に効果ある可能性…
  • 5
    イーロン・マスクのDOGEからグーグルやアマゾン出身…
  • 6
    アメリカで牛肉さらに値上がりか...原因はトランプ政…
  • 7
    「浅い」主張ばかり...伊藤詩織の映画『Black Box Di…
  • 8
    「絶対に太る!」7つの食事習慣、 なぜダイエットに…
  • 9
    富裕層を知り尽くした辞めゴールドマンが「避けたほ…
  • 10
    ボブ・ディランは不潔で嫌な奴、シャラメの演技は笑…
  • 1
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 9
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
  • 10
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中