大本命ヒラリーを襲う個人メールという爆弾
2年以上も尾を引くメール問題でFBI捜査に協力するという方針転換へ
前途多難 国務長官時代の問題がくすぶり続け、好感度にも影響が出始めている Brian Snyder-REUTERS
アメリカ初の女性大統領誕生に向けてひた走る、ヒラリー・クリントン前国務長官。民主党の最有力候補の座は揺るぎないが、その選挙活動は順風満帆とは言い難い。最大の障害が、2年以上にわたり尾を引いている個人メール問題だ。
09~13年の国務長官時代に、政府のアカウントではなく個人のメールアカウントを公務に使用していたヒラリー。これが連邦規定に違反するのではないかという批判が絶えない。
ヒラリーの個人用メールアドレスの存在と、そのアドレスでやりとりされた内容がルーマニア人ハッカーの手で暴露されたのは13年3月のこと。国務長官だったヒラリーが個人用アドレスで、長年の盟友で補佐官のシドニー・ブルーメンソルからのメールを受け取っていたと報じられた。メールの内容は、12年にリビアのベンガジで起きたイスラム武装組織による米領事館襲撃事件に関するものだった。
暴露から2年が過ぎた今年3月。今度はニューヨーク・タイムズ紙が、ヒラリーの個人メールアドレスを使った公務執行は、連邦政府の規定違反に当たるのではないかと報じた。
1950年の連邦記録法により、すべての連邦職員には通信内容を公文書記録として保管することが義務付けられている。国務長官も例外ではない。昨年には、個人メールのデータを20日以内に政府のサーバーに移すという内容も追加された。だがこの法改正はヒラリーが国務省を辞した後のことだから、今回の件には当てはまらないと、彼女の弁護士は言う。
ヒラリーの広報担当も法律違反ではないと主張。ヒラリーは公務の際、国務省職員の政府アカウントに宛ててメールを送っており、それらのデータは国務省に保存されている、だから国務長官当時の連邦記録法の要件を満たしているとの論法だ。
疑念払拭への最終手段
ニューヨーク・タイムズの報道が出た後、ヒラリーはメール送受信用に2つも端末を持ち歩きたくなかったから自宅に個人用メールサーバーを立ち上げたと語った。公務に関する3万490件のメールを国務省に提出し、休暇やヨガなどに関する私用メール3万1830件を削除したとも述べた。