迷走続くアメリカ政治、打開のカギは共和党にあり
不毛な党派対立で政治不信は募る一方だが、今後は超党派合意の可能性もある
目覚めよ、共和党 マコネル上院院内総務(右)の指導力が問われる Larry Downing-Reuters
今年のアメリカの民主主義に誰も多大な期待はしていない。アメリカ人ならなおさらだ。13年には債務上限引き上げをめぐって協議が難航、一部政府機関が閉鎖される事態に陥った。長引く膠着状態に国民の政治不信は膨れ上がっている。
米ギャラップの世論調査では、政府機関閉鎖に陥った直後の13年11月、議会支持率は1974年の調査開始以来最低の9%に低下。昨年11月の中間選挙直前も14%と低迷が続いた。過去10年近く有権者の大部分が政府に不満があると回答し、74年のニクソン大統領辞任につながったウォーターゲート事件当時を上回ることも珍しくない。
オバマ大統領の好感度についても同じことが言える。昨年の中間選挙では、オバマの政策に対する有権者の不満を反映し、上院でも共和党が多数派になった。この分では膠着状態も当分打開できそうにない。
その後もオバマ政権と議会共和党の協力と歩み寄りを期待する人々にとっては、あまり明るい兆しは見られなかった。
共和党はオバマが政策を強行すれば宣戦布告と受け取ると牽制。一方のオバマは対決姿勢を鮮明にし、移民制度改革で大統領令を発令し、気候変動対策などでもその権限を行使する構えだ。共和党も上院の承認を必要とする任命人事を承認せず、オバマの目玉法案を潰し、政権運営を難しくしてやると応戦。一方、共和党議員が大喜びしそうな法案にはオバマが拒否権を行使するのは必至だ。
それでもいくつかの理由で、今年はやや改善が望めるかもしれない。共和党と民主党が建設的に協力するとは考えにくいが、かすかな希望はある。手を組むことが双方のプラスになる千載一遇のチャンスだからだ。
オバマにしてみれば、その図式はかなり分かりやすい。任期が残すところ2年となって、歴代の大統領と同様、確実な遺産づくりに余念がない。非常に党派色の強い中で舵取りを迫られてきただけになおさらだ。