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次なる国防長官を待つ憂鬱と難題の日々

2014年12月12日(金)12時37分
クリストファー・ハーレス

減る軍事費と続く戦闘

 カーターは従順一方の人物ではない。これまで何度も、政権の方向性に反対する姿勢を示している。一例が、債務上限問題を受けて11年にオバマ政権が制定した予算管理法に異議を唱えたこと。外交政策に関しても少数派の立場を取る。06年には、北朝鮮が大陸間弾道ミサイルの発射実験を行ったら、米軍は爆撃に踏み切るべきだと語った。

 国防総省の兵器購入責任者を務めたこともあるその知識と経験は、下院軍事委員会の次期委員長就任が決定しているマック・ソーンベリー下院議員や、上院軍事委員会を率いるだろうマケインと相通じる。

 カーターも、巨額のF35戦闘機開発計画に懐疑的なマケインも、国防予算における変化の象徴だ。軍事費は減る一方で、より少ないカネでより多くの結果を出す政策が求められている。

 イスラム教スンニ派テロ組織ISIS(自称イスラム国、別名ISIL)との戦いは今後も続くだろう。だが国防予算は、11年度には6870億ドルだったが、15年度は5750億ドルに減らされた。カーターは前任者と同じ不満と難題に悩むはずだ。
国防副長官時代のカーターは現場の兵士の安全を重視し、イラクやアフガニスタンでの簡易爆弾対策として、より性能の高い装甲車の導入を加速させた。つまり、緊急の課題にカネを費やすことをいとわない人物だ。

 学者出身でクリントン政権時代に国防次官補を務め、各種の職務を経験したカーターは「国防長官として理想的なキャリアの持ち主と言える」。米ブルッキングズ研究所のマイケル・オハンロン上級研究員は先週、CNNにそう語った。「理論的には、最高の人材のはずだ」

[2014年12月16日号掲載]

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